2025年9月10日:広島を襲った大雨と交通混乱、そしてその影響

メモ

2025年9月10日(水)の広島県は、秋雨前線の影響で朝から断続的な雨に見舞われ、交通機関に大きな影響が出ました。観測史上最大の降水量を記録した地域もあり、県内は一日中警戒が必要な状況でした。

大雨の状況と気象警報

9月10日は、中国地方に停滞する秋雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定となりました。特に朝から昼過ぎにかけて発達した雨雲が断続的にかかり、大竹市では午前7時ごろまでの1時間に79ミリという観測史上最大の非常に激しい雨を記録しました。その他にも、広島市安佐北区三入で20.5ミリ、広島市中区で17.5ミリの短時間大雨が降っています。呉市倉橋では正午すぎまでの1時間に54ミリ、北広島町都志見では午前11時3分までに52ミリの非常に激しい雨を観測しました。

広島県南部と北部の一部には大雨警報が発表され、気象台は浸水害、河川の増水、土砂災害に十分注意するよう呼びかけました。また、10日夜遅くにかけては竜巻などの激しい突風、落雷にも引き続き注意が必要とされました。10日に予想される1時間降水量は南部・北部ともに多いところで40ミリ、11日昼までの24時間降水量は多いところで80ミリと予測されていました。

交通機関への広範囲な影響

大雨は広島県内の交通機関に大きな影響をもたらしました。

JR在来線

JR西日本によると、大雨の影響で多くの在来線が運転を見合わせました。

  • 山陽本線:午前6時51分頃から三原駅~山口県柳井駅間で運転を見合わせ。JR西日本では、午前8時時点で大野浦~柳井間が運転見合わせとなっていました。この区間の運転再開は早くとも正午以降とされていましたが、その後午後5時以降、さらに午後6時以降に見込みが変更されました。最終的には午後6時ごろから順次運転を再開しましたが、5~50分の遅れや運転取りやめが発生しました。三原駅~白市駅間は倒木のため終日運転取り止めとなり、この区間を利用する乗客には山陽新幹線での代替輸送が実施されました。
  • 呉線:午前7時25分から広駅~広島駅間で運転を見合わせ。運転再開は早くとも正午以降とされていました。広駅~三原駅間は午後3時頃に運転を再開しましたが、広島駅~広駅間は午後5時以降の再開を見込み、午後5時17分に運転を再開しました。しかし、一部列車に5~15分の遅れが発生しました。呉線全体では、大雨により大乗駅~安登駅間で徐行運転が行われ、一部列車に最大200分の遅れや運転取り止めが出ています。
  • 芸備線:三次駅~広島駅まで一部列車に遅れが出ていました。大雨により三次駅~上川立駅間などで徐行運転が行われ、一部列車に最大110分の遅れや運転取り止めが発生しています。庄原市の備後落合駅と岡山県の新見駅の間で運転を見合わせていましたが、午後4時半には運転を再開しました。
  • 可部線:大雨により一部の列車に遅れや運転取り止めが発生しました。
  • 福塩線:大雨により梶田駅~三良坂駅間で徐行運転が行われ、一部列車に5~40分の遅れが発生しました。
  • 岩徳線:岩国駅~徳山駅間で上下線ともに運転を見合わせていました。

山陽新幹線・九州新幹線

山陽新幹線も大雨と信号設備トラブルの影響を受けました。

  • 大雨の影響:午前6時47分から広島駅~福岡県小倉駅間で運転を見合わせ。午前7時半ごろに徐行で運転を再開しましたが、一部列車に遅れが生じました。新大阪駅~博多駅間の一部列車にも遅れが出ていました。
  • 信号設備トラブル:午後には東広島駅付近で一時的に信号設備が停止信号から変わらない状態となり、作業員による確認作業が行われました。午後3時ごろに確認は終了しましたが、東広島駅付近では一時的に時速30kmに徐行運転が行われ、午後3時半現在で上下線に最大2時間半以上の大幅な遅れが生じました。三原駅~広島駅間での信号確認により、新大阪駅~博多駅間の列車に最大で大幅な遅れが生じ、一部列車は運休となりました。
  • 九州新幹線への影響:山陽新幹線の大雨による運行規制の影響で、10日午前7時58分ごろから九州新幹線でもダイヤの乱れが発生しました。
  • 払い戻し・変更:9月10日を有効期間に含む山陽新幹線を発着または通過となるきっぷについては、無手数料での払い戻しや有効期間の変更が行われました。

広島呉道路

広島呉道路(クレアライン)は、大雨のため広島市の仁保ジャンクション~呉市の呉インターチェンジ間で上下線ともに午前7時37分から通行止めとなりました。しかし、午前10時30分には通行止めが解除されました。

広島電鉄

広島電鉄の電車も、9月10日午前7時~12時の間、降雨の影響により1号線、2号線、3号線、5号線、6号線、7号線、8号線、9号線の全線で遅延が発生しました。

気温と今後の天気

9月10日の日中の最高気温は30℃前後のところが多かったものの、広島市中区では午後の土砂降りの雨の後、大きく気温が下がり最低気温25.7℃を記録しました。福山以外の県内全地点で30℃を下回った地域もありました。熱中症警戒アラートの発表はありませんでしたが、湿度は高くムシムシジメジメとした体感が続きました。

この先1週間の天気予報では、木曜日までは雲が広がりやすく、雨の影響が残るでしょう。金曜日と土曜日は一時的に天気が持ち直す見込みですが、日曜日からは再び雨が予想されており、小刻みな天気変化に注意が必要です。日中の気温は30℃を超える日が多く、厳しい蒸し暑さが続くため、引き続きこまめな水分補給などの熱中症対策が呼びかけられています。

その他の影響

大雨と落雷により、県内各地で停電も発生しました。

  • 大竹市では午前6時11分に約1,910戸、午前8時25分には約810戸で停電が発生し、原因不明(風雨の影響が考えられる)や調査中とされています。
  • 広島市佐伯区や廿日市市では午前6時30分に落雷による当社設備の故障で約500戸が停電しました。
  • 江田島市では午前6時43分に落雷により約2,820戸が停電しました。
  • 東広島市では午前7時44分から午前7時52分にかけて、落雷や風雨により計約3,040戸が停電しました。
  • 広島市東区や安佐北区、安芸高田市では午前8時56分に約2,370戸と約620戸で停電が発生しました。
  • 広島市安佐北区や安芸高田市では午前9時9分に落雷により約1,910戸が停電しました。
  • 呉市では午前11時12分から12時03分にかけて、焼山町、仁方、安浦町、豊町などで落雷や調査中を理由に合計約1万2千戸以上の大規模な停電が発生しました。
  • 三原市の大和町(上徳良・下徳良・大草)地域では、午前8時18分頃に落雷によるインターネット障害が発生しましたが、午前9時40分頃に復旧しました。

私の見解

2025年9月10日の広島県の大雨は、秋雨前線がもたらす典型的な広域災害型の気象現象であり、鉄道・道路・電力網に至るまでインフラ全体に大きな影響を与えた点が特徴的です。

  1. 記録的降水と広域影響
    大竹市で1時間に79ミリという観測史上最大の降水を記録したことは、短時間強雨の脅威を象徴しています。これが複数地点で同時に発生したため、JR・新幹線・道路・電力といった基盤インフラが同時多発的に機能不全に陥った点は注目すべきです。
  2. 交通機関の脆弱性と代替輸送
    山陽本線の倒木による終日運休、呉線や芸備線の長時間運転見合わせは、鉄道の弱点を浮き彫りにしました。その一方で、山陽新幹線を使った代替輸送など迅速な切り替え策は、一定のリスク分散として評価できます。
  3. エネルギーインフラへの打撃
    広島市や呉市を中心に大規模停電が発生したことは、雷害・強雨への送電網の脆弱性を示しています。特に呉市で1万戸超の停電が起きたのは、市民生活や医療機関に深刻な影響を与えた可能性があります。
  4. 今後への示唆
    今回の事例は「秋雨前線による災害が梅雨や台風に劣らないリスクを持つ」ことを広く認識させる契機となりました。

全体として、この大雨は「生活インフラの同時多発的な脆弱性」が表面化した災害であり、災害多発時代のリスク管理の重要性を強く示しています。

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