広島県を襲った記録的豪雨:交通機関の混乱、避難指示、物的被害

メモ

広島県は2025年9月11日夜から12日朝にかけて、広範囲で記録的な豪雨に見舞われました。この未曽有の大雨は、交通機関の混乱、広範囲にわたる避難指示、そして各地での甚大な物的被害を引き起こしました。本記事では、一連の出来事と、その影響、そして今後の警戒情報について詳しくお伝えします。

未曽有の豪雨が広島県を直撃!広範囲で避難指示発令

警戒レベル4「避難指示」の広がりと影響

9月11日夜から12日朝にかけて、広島県内は断続的に強い雨に見舞われました。これは、秋雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、上空に冷たい空気が入り込んだことで、大気の状態が非常に不安定になったためです。さらに、広島県付近で秋雨前線が上に湾曲していたことも、大雨の発生を助長したと考えられています。

この豪雨により、県内14の市町で土砂災害警戒情報が発表され、一時は広島市など11地点に避難指示が出されました。広島市では全区で「避難指示(警戒レベル4)」が発令され、最大で16万人以上が避難対象となりました。特に、広島市と庄原市では約3万8千世帯、約8万人が避難指示の対象となり、81人が避難所に避難しました。

個別の地域では、庄原市総領町などで合計3297世帯6679人に避難指示が出され、三次市甲奴地区では964世帯1984人が避難指示の対象となりました。また、神石高原町全域にも避難指示が出ていました。広島市内の各区でも、南区の似島小学校区 や、西区の10地区、佐伯区の18地区、中区の2地区、安芸区の4地区、安佐北区の4地区 など、多くの地域で避難指示が発令されました。

幸いにも、この大雨による人的被害は報告されていません。避難指示は、広島市内で午前7時までにすべて解除され、三次市や神石高原町では午前1時50分に、庄原市でも午前6時には解除されました。

観測史上最大級の雨量と今後の見通し

今回の豪雨では、特に局地的に非常に激しい雨が観測されました。神石高原町油木では1時間に64.5mmという9月の観測史上最大の雨量を記録し、廿日市市大野では午前4時までの1時間に73mmの非常に激しい雨が降りました。広島市中区でも32.5mmの激しい雨が観測されています。

11日正午から12日午前10時までの24時間雨量では、神石高原町油木で87mm、廿日市津田で52.5mm、広島市中区で50mmを記録するなど、各地でまとまった雨が降りました。廿日市市にある永慶寺川の水ノ越観測所では一時的に氾濫危険水位を超過する事態となりましたが、その後水位は下回っています。東広島市では一時、洪水警報が発表されました。

気象台によると、12日夜遅くにかけても中国地方では大気の状態が非常に不安定な状態が続き、局地的に雷を伴う激しい雨が降る可能性があると予想されていました。1時間降水量は山陽・山陰ともに最大30mm、13日夕方までの24時間降水量は最大70mm、13日昼までには最大80mmが見込まれていました。

前線は13日には一時日本海に北上しますが、14日にかけて再び南下し、大気の状態が不安定になるため、引き続き注意が必要です。土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に加えて、竜巻などの激しい突風や落雷にも厳重な警戒が呼びかけられていました。

道路寸断、鉄道運休…各地で発生した深刻な被害

道路の陥没と土砂災害で寸断される交通網

豪雨は道路交通網にも深刻な影響を及ぼしました。廿日市市宮島口西の国道2号では、直径約5メートル、深さ約2メートル(最大2.4m)にも及ぶ大きな穴が突然道路に開く陥没事故が発生し、走行中の4トントラックの左側の前輪がはまり動けなくなりました。運転手にけがはありませんでしたが、国道2号の約1.8キロから2キロの区間が上下線で全面通行止めとなり、周辺道路への迂回が促されました。

この陥没の原因は大雨である可能性が高いと国土交通省が調査を進めています。また、廿日市市深江の市道でも幅約3メートルの陥没が見つかり、一時通行止めとなりました。さらに、水圧によりマンホールが吹き飛び、道路のアスファルトが約3メートルにわたって剥がれる被害も報告されています。

庄原市総領町では土砂崩れが発生し、国道432号が11日深夜から通行止めとなり、約1.8キロの区間が寸断されました。これにより14世帯30人が一時孤立する事態となりました。

鉄道ダイヤの大幅な乱れと運休・遅延

JR各線でも大雨の影響により運行に大きな支障が出ました。

  • 山陽新幹線
    • 東海道新幹線内での大雨の影響を受け、新大阪駅~博多駅間(博多方面)を中心に、一部列車に遅れが生じました。
  • JR山陽線
    • 11日には本郷駅~河内駅間で落石警報が鳴動し、三原駅~白市駅間で運転見合わせとなりましたが、午前8時38分には運転を再開しています。
    • 12日は横川駅~岩国駅間で始発から運転を見合わせました。午前11時30分に運転を再開しましたが、その後も一部列車に5分から最大230分の遅れや運休が発生しました。
    • 12日、東海道新幹線の大雨による遅れのため、広島駅での接続待ち合わせにより、白市~広島間の一部列車に5~20分の遅れが発生しています。
  • JR芸備線
    • 11日の大雨のため、12日は新見駅~備後落合駅間で始発から運転を見合わせました。午前13時には新見駅13時00分発の備後落合行きと備後落合駅14時39分発の新見行きから運転が再開されましたが、線路設備確認のため一部区間では速度を落としての運転となり、列車に遅れが生じました。
    • 11日には福塩線の大雨による遅れの影響で、塩町駅での接続待ち合わせにより、備後庄原~塩町間の一部列車に遅れが出ました。
    • 12日夜には、高駅~七塚駅間での徐行運転により、備後落合~三次間の一部列車に5~15分の遅れが発生しました。
  • JR呉線
    • 10日からの大雨の影響で、12日には山陽本線や呉線の一部列車で車両数を減らして運転する措置がとられました。
    • 12日の大雨により、広駅~広島駅間の一部列車に5分から最大190分の遅れや運転取りやめが発生しました。安芸阿賀駅~天応駅間では徐行運転も行われました。東海道新幹線の大雨による遅れのため、広島駅での接続待ち合わせにより、広~広島間の一部列車に遅れが発生しています。
  • JR福塩線
    • 11日、神辺駅~湯田村駅間での踏切設備確認により、福山~神辺間で約15分の遅れが発生しました。また、大雨のため府中駅~中畑駅間で徐行運転が行われ、一部列車に5~25分の遅れが生じました。
  • 広島電鉄
    • 12日午前6時から11時までの間、降雨の影響により、1号線から9号線までの全線で遅延が発生しました。
  • 空の便
    • 広島空港を発着する便では、羽田行きの便を中心に複数便が欠航しました。

生活への影響

浸水被害

今回の豪雨では、庄原市で住宅に土砂が流れ込む被害が4件、床上浸水が2件、床下浸水が1件確認されました。庄原市総領町亀谷の70代男性の自宅では、11日夜11時頃に近くの川があふれ、家の中に水や土砂が流れ込み、夫婦と避難してきた住民の3人が2階に避難したと語っています。

停電など

電力供給にも影響が出ました。広島県内では、尾道市、福山市、神石高原町、広島市安佐北区、三次市、世羅町、山県郡安芸太田町、北広島町において、落雷や樹木接触などが原因で最大約1,760戸の停電が発生しました。また、大和町全域では落雷によりテレビ・インターネットサービスに障害が発生しましたが、同日午後2時45分頃には復旧しました。

私の見解

今回の豪雨では、幸いにも直接的な人的被害は報告されなかったものの、交通インフラや人々の生活に甚大な影響を与えました。気象台は、今後も大気の状態が非常に不安定な状況が続くため、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水に対する厳重な警戒を引き続き呼びかけています。さらに、竜巻などの激しい突風や落雷にも注意が必要です。

最新の気象情報や自治体からの避難情報に注意し、安全を確保するための行動を怠らないことが、今後の災害への備えとして非常に重要と考えます。

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