平和と復興の道を辿るサイクリング:RIDE FOR PEACE & UNITY HIROSHIMA2025

メモ

被爆遺産を巡るサイクルツーリズムの開催

世界自転車デー創設者と共に「平和と団結」をテーマに走行

広島県は、サイクリストの聖地である瀬戸内しまなみ海道の誘客効果を県全域に広げるため、サイクルツーリズムの振興に取り組んでいます。

その一環として、国連で採択されている「World Bicycle Day(世界自転車デー)」の創設者であるレゼック・シビルスキ教授と学生たちが一緒に、「平和と団結」をテーマとして広島市内を自転車で走行する「RIDE FOR PEACE & UNITY HIROSHIMA2025」が開催されました。

このイベントは被爆80年にあわせて広島県が初めて企画したもので、広島の戦前・戦中・戦後復興の歩みを、被爆遺産を巡るサイクリングを通じて体感してもらい、サイクルツーリズムの魅力を発信することを目的としています。

開催日時は令和7年9月20日(土)9:00から12:30で、平和記念公園レストハウス2F休憩室に集合しました。参加者には、湯﨑英彦広島県知事、レゼック・シビルスキ教授の他、県内の中学生から大学生など概ね15歳以上の学生15名程度が参加しました。

歴史をたどる約8kmのライドコース

このサイクリングイベントは、広島の歴史を辿る3つのセクションで構成されました。

  1. 戦前エリア(広島城周辺):被爆前の繁華街として栄えた広島を巡る。
  2. 戦中エリア(平和記念公園周辺):日常が一瞬で奪われた広島の現在を巡る。
  3. 戦後エリア(御幸橋周辺):広島の復興を巡る。

参加者たちは、平和記念公園レストハウスを出発し、平和公園や東千田公園などを巡りました。コースは、当初予定されていた広島城を含め約8kmの走行距離が予定されていましたが、時間の都合上、広島城がカットされたコース(レストハウス→平和記念公園→東千田公園→御幸橋→レストハウス)も示されています。

実際にライドでは、被爆遺産である原爆ドームや、原爆で損傷しながらも現在も走り続けている「被爆電車」が展示されている広島電鉄の千田車庫なども巡りました。参加者は電動アシスト自転車(ぴーすくる)を使用し、ガイドから戦前の賑わいや焼け野原からの復興についての説明を真剣に聞きました。

次世代へ繋ぐ平和へのメッセージ

参加学生が得た学びと新しい視点

イベント後には、ツアー後の意見交換会が設けられ、知事や教授から学生へメッセージが送られました。

学生たちは、このイベントを通して

  • 「体験を通じて平和を考える新しいきっかけ」
  • 「原爆の歴史への理解の深化」
  • 「広島の街と復興への学び」

をそれぞれの立場から受け取り、単なる観光体験を超えて「平和を考える視点」を広げました。

広島県は今後も、様々なテーマに沿って自転車で観光地を巡るツアーを計画していく意向を示しています。

国際的な視点を持つ参加者募集の背景

このイベントの背景にある「世界自転車デー」は、アメリカのモンゴメリ大学で社会学を講じるレゼック・シビルスキ教授が主導した草の根運動により、2018年4月12日に国連総会決議72/272で加盟全193カ国の賛成を得て採択・制定された国際デー(6月3日)です。

国連決議では、自転車が「シンプルで手ごろであり、信頼性が高く、クリーンで環境にやさしい持続可能な交通手段である」として、世界中で自転車の活用を進めるよう要請されています。

イベントの募集対象は平和や観光に関心がある概ね15歳以上の学生とされましたが、主な使用言語が英語であったため、日常会話程度の英語力があることが応募要件の一つでした。これは、平和と団結という国際的なテーマを背景に、幅広い視野を持つ学生が参加することを意図したものです。

私の見解

「RIDE FOR PEACE & UNITY HIROSHIMA2025」は、被爆80年という節目に「平和」と「自転車」を結び付けた点で大きな意味があります。

広島はこれまでも「被爆遺産の継承」を中心に平和を発信してきましたが、このイベントは 体験型・参加型の平和学習 という新しいアプローチを取り入れています。

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