マツダ内定式に見る未来の人材確保と運送業界・海上保安庁の取り組み

運送業界と海上保安庁における人材確保の動き

運送業界では依然として人手不足が続いており、この問題に対応するため、福山市ではトラックドライバーの人材確保を目的とした就職説明会が開催されました。

また、海上保安庁も人材不足を課題として認識しており、特に若い世代へ向けてのアピールに力を入れています。

その一環として、昨年大型化された全長134メートルを誇る最大かつ最新鋭の練習船「いつくしま」を用いた体験航海が実施されました。この取り組みが行われる背景には、昨年度の海上保安大学校の学生採用試験の実質倍率が過去最低水準となったことがあります。

練習船の船長は、海や人命救助に興味を持つ人々の応募を強く呼びかけています。船内での生活体験では、Wi-Fi環境が整っていることや、乗組員が作る食事がおいしいといった情報が共有され、参加した中高生からは、職場の人間関係が予想よりも朗らかな雰囲気である点に魅力を感じるという感想が述べられました。

広島労働局によると、2025年春に県内の大学を卒業する学生の就職内定率は96.5%と、過去2番目の高水準を記録しており、「売り手市場」が続いています。マツダはこのような状況下で学生を確保するため、インターンシップなどの活動に力を入れています。

10月1日には、来年春に入社予定の大学生など事務・技術系の内定者139人を対象とした内定式が本社で開かれました。人事担当者は内定者に対し、自動車業界はアメリカ・トランプ政権の関税措置や電気自動車（EV）へのシフト加速といった「過去にない厳しい時代」に直面していると説明しました。

内定者からは、消費者を第一に考えたモノづくりや、車を通じて楽しさや感動を提供できるような仕事に取り組みたいという意欲が示されました。

人材不足は運送業界や海上保安庁に限らず、多くの業界に共通する課題です。特に若い世代に魅力を伝える取り組みは重要であり、現場の実際の雰囲気や生活環境を体験できる機会が応募意欲を高める一助になると感じます。

マツダの採用活動に見られるように、厳しい市場環境に直面しても、企業は未来志向で人材育成に力を入れています。就職活動中の学生にとって、企業の姿勢や働く現場のリアルな情報は職業選択の大きな判断材料になるでしょう。

これからの採用活動では「待遇」や「安定」だけでなく、「やりがい」や「人とのつながり」といった要素が一層重視されるはずです。時代に合わせた人材確保の工夫が進むことで、多様な若者が自らの可能性を発揮できる社会につながると考えます。