行こう!「ひろしま国際建築祭2025」高校生のための簡単ガイド:無料パスポートの注意点

メモ
『ひろしま国際建築祭 2025』ロゴ
デザイン:原研哉

はじめに:建築って面白い?「ひろしま国際建築祭」ってなんだろう?

「建築」と聞くと、少しむずかしいイメージがあるかもしれません。でも、もし建物がアート作品のようだったり、未来の暮らしをのぞき見できるタイムマシンのようだったりしたら、ワクワクしませんか?2025年の秋、広島県の福山市と尾道市で開かれる『ひろしま国際建築祭2025』は、まさにそんな驚きと発見に満ちた、建築の大きなお祭りです。このガイドは、普段あまり建築に馴染みのない高校生のみなさんに、このイベントの面白さを伝え、建築という新しい世界への扉を開くための「最初の鍵」です。さあ、一緒にその扉を開けてみましょう!

Q&A

「ひろしま国際建築祭」って、そもそも何をするイベントなの?

一言で言うと、「3年に1度開かれる、建築文化のお祭り」です。ただ建物の展示を見るだけではありません。「建築で未来の街をつくり、こどもの感性を磨き、地域を活性化させ、地域の“名建築”を未来に残すこと」を目標に、世界的に有名な建築家から若手の作家までが集まり、トークショーや映画上映、街歩きツアーなど、たくさんのプログラムが開催されます。まるで芸術祭の「建築バージョン」ですね。

どうして広島県の福山市や尾道市で開かれるの?

瀬戸内海に面したこのエリアは、昔から船が行き交う「文化の交差点」でした。古いお寺や趣のある街並みが残っているだけでなく、丹下健三や安藤忠雄といった、世界的に有名な現代建築家たちも、この土地の魅力に惹かれて素晴らしい作品を数多く残しています。つまり、昔から今まで、すごい建築が集まっている「建築文化の集積地」なんです。

今回のテーマ「つなぐ」って、どういう意味?

今回の総合テーマは「つなぐ—「建築」で感じる、私たちの“新しい未来”」です。今の世界は、自然災害や環境問題など、たくさんの課題を抱えていますよね。この建築祭では、建築という「知恵」を使って、バラバラになってしまったものをもう一度つなぎ直してみよう、と考えています。例えば、人と人過去と未来建物と自然環境。これらをつなぎ直すことで、どんな“新しい未来”が見えてくるのかを、みんなで一緒に考えるきっかけになるイベントです。

それでは、この壮大なお祭りで、特に何を見ればいいのでしょうか?次のセクションでは、建築に詳しくなくても絶対に楽しめる、選りすぐりの見どころをご紹介します!

絶対に見逃せない!建築祭の3大ハイライト

この建築祭には、世界中から注目されるプログラムがたくさんありますが、特に高校生のみなさんに「これだけは見てほしい!」というポイントを3つに絞ってご紹介します。建築の知識がなくても、きっと心に残る体験が待っています。今回は建築祭の総合テーマ「つなぐ」をキーワードに、その魅力に迫ります。

【過去と未来をつなぐ】建築界のノーベル賞!「プリツカー建築賞」受賞者たちが大集合

  • 何がすごいの?
    • プリツカー建築賞は、建築家にとって最高の栄誉とされる「建築界のノーベル賞」。そして日本はこの賞の受賞者が8組9名と、世界で最も多い国の一つなんです。今回の建築祭では、その受賞者たちに焦点を当てた特別展示「ナイン・ヴィジョンズ|日本から世界へ 跳躍する9人の建築家」が開催されます。
  • なぜ面白いのか?
    • 「なぜ日本の建築は世界で評価されるんだろう?」という疑問に、作品を通して迫ることができます。この展示は、日本の現代建築の歴史を築いたレジェンドたちの功績と、その先の未来を「つなぐ」試みです。出展者には、丹下健三槇文彦安藤忠雄SANAA(妹島和世・西沢立衛)伊東豊雄坂茂磯崎新山本理顕といった、教科書やテレビで一度は名前を聞いたことがあるかもしれない巨匠たちが勢ぞろい。彼らのアイデアやデザインの世界に直接触れられる、またとないチャンスです。
  • どこで見られる?
    • 尾道市の千光寺公園内にある尾道市立美術館です。

【建築と環境をつなぐ】未来の建物はこうなる?最先端の建築アイデアに触れる

  • 何がすごいの?
    • 「未来の建築ってどうなるんだろう?」という問いに、第一線で活躍する建築家たちが答える展示**「NEXT ARCHITECTURE|「建築」でつなぐ”新しい未来”」が開催されます。建築を人工的な装置ではなく「地球と響き合う有機的な存在」と捉え直し、建築と自然環境を「つなぐ」新しい提案に出会えます。
  • なぜ面白いのか?
    • 藤本壮介氏石上純也氏川島範久氏VUILD/秋吉浩気氏Clouds Architecture Officeの5組の建築家が、「海」「自然」「宇宙」といった壮大な視点から、これからの建築の姿を提案します。また、街の中にアート作品のような小さな建物が出現する「移動型キオスク・プロジェクト」は必見です。特に、JR福山駅前に置かれる石上純也氏の「雲がおりる」は、建築祭のインフォメーションセンター。石上氏はこれを「とても小さな可愛いらしい雲」「友達のように人懐こい雲」と表現します。まるで空から降りてきて、やさしく陸に触れているような彫刻作品が、あなたを最初に出迎えてくれます。街を歩きながら、宝探しのようにユニークな建築を探す楽しみがあります。

【古いものと新しい価値をつなぐ】古い建物の大変身!リノベーションの魅力を体感する

  • 何がすごいの?
    • 建築家の長坂常氏が、尾道で一目惚れした空き家を自分で購入し、新たな文化交流の拠点として生まれ変わらせたストーリーを体感できる展示「OPEN LLOVE HOUSE |尾道「半建築」展」です。
  • なぜ面白いのか?
    • 古いものをただ壊すのではなく、その良さを活かしながら新しい価値を「つなぐ」のが「リノベーション」の面白さ。この展示では、その可能性を肌で感じることができます。さらにこの展示では「半建築」というユニークな概念も探求します。あえて「未完」であること、建築と家具の「間」にあることってどういう意味だろう?建築家が「建物」そのものの定義をどう捉え直しているのか、考えさせられるはずです。「自分ならこの空間をどう使うかな?」と想像も膨らみます。
  • どこで見られる?
    • 会場は、プロジェクトそのものである「LLOVE HOUSE ONOMICHI」です。

これらの展示だけでもお腹いっぱいになりそうですが、建築祭の魅力はこれだけではありません。次に、展示以外にも楽しめるプログラムの数々をご紹介します。

展示だけじゃない!建築祭の楽しみ方いろいろ

『ひろしま国際建築祭』は、展示を「見る」だけでなく、建築を「学び」「感じる」ための多彩なプログラムが用意されています。ここでは、あなたの知的好奇心を刺激する、展示以外の楽しみ方をご紹介します。

無料で楽しめるプログラム

鑑賞パスポートがなくても無料で楽しめる展示もあります。尾道の人気スポットONOMICHI U2で開催される「『ZINE』から見る日本建築のNow and Then」展がその一つ。ZINE(ジン)とは、個人やグループが自主制作する雑誌のこと。これは単なる雑誌の展示ではありません。次世代を担う若手建築家たちの、まだ世に出る前のスケッチブックやマニフェストをこっそりのぞき見るような、生々しくて熱い思いに触れられる貴重な機会です。

映画で建築を知る

尾道駅前の映画館「シネマ尾道」と連携し、建築にまつわる映画が特集上映されます。『アアルト』『だれも知らない建築のはなし』『軽蔑 4Kレストア版』『ブルータリスト』といった作品を通じて、映像ならではの迫力で建築家たちの世界に浸ることができます。普段あまり美術館に行かないという人でも、映画なら気軽に楽しめるはずです。

建築家から直接話が聞ける!

プリツカー建築賞受賞者でもある坂茂(ばん しげる)氏による講演会「作品づくりと社会貢献の両立を目指して」が開催されます。坂氏は、美しい建築を設計するだけでなく、世界中の被災地で仮設住宅を作るなどの支援活動でも高く評価されています。美しいものを作るだけでなく、その技術を最も困難な状況にいる人々のために使う建築家から直接話が聞ける、またとない機会です。自分の将来や社会との関わり方を考え始めた高校生のみなさんにとって、大きなヒントを与えてくれるかもしれません。(※無料・事前予約制、10月3日時点で申し込みは終了しています。)

街全体がミュージアムに

「ひろしまたてものがたりフェスタ2025」との連携により、建築をテーマにした街歩きツアーや講演会など、さらに多くのプログラムが開催されます。専門家の解説付きで街を歩けば、普段何気なく見ていた建物や風景が、まったく違って見えるかもしれません。建築は、建物の中だけでなく、街との関係性の中にこそ面白さがあることを実感できる絶好の機会です。

これらのプログラムに参加すれば、建築祭を何倍も深く楽しむことができます。さあ、次は実際に訪れるための計画を立てていきましょう!

さあ、計画を立てよう!建築祭まるわかり情報

ここまで読んで、少しでも「行ってみたい!」と思ってくれたなら、あとは計画を立てるだけ。このセクションでは、建築祭をスムーズに楽しむための実用的な情報をお届けします。チケットのことから会場へのアクセスまで、これさえ読めば準備は万端です!

開催期間と主な会場

  • 開催期間: 2025年10月4日(土) から 11月30日(日) までの58日間
  • 主な会場: 広島県の福山市尾道市が舞台です。代表的な会場はこちら。
    • 福山エリア
      • 神勝寺 禅と庭のミュージアム
      • ふくやま美術館
    • 尾道エリア
      • 尾道市立美術館
      • LOG
      • LLOVE HOUSE ONOMICHI
      • まちなか文化交流館「Bank」
      • ONOMICHI U2

チケットの入手方法【重要!】

建築祭の多くの展示を見ることができるチケットは「鑑賞パスポート」という名前です。そして、高校生のみなさんにとって一番大事な情報がこちら!

なんと、高校生以下は無料です!

ただし、無料パスポートを手に入れるには、WEBでの事前申し込みが必要です。公式サイトをチェックして、忘れずに申し込んでください。

(参考)一般の方向けの有料パスポートは、WEB販売で2,500円、会場販売で3,000円です。

建築祭を楽しむためのヒント

  • モデルプランを考えてみよう!
    • 福山と尾道、どちらも魅力的な会場がたくさん。1日で両方楽しむ欲張りプランも可能です。例えば、「午前は坂の町・尾道でアートな建築やリノベーション作品を巡り、午後は福山に移動して未来の建築に思いを馳せる」のはどうでしょう?自分だけのオリジナルコースを考えるのも楽しみの一つです。
  • 「見る」だけじゃなく「参加する」側に!
    • この建築祭では、イベントを支えるサポート(ボランティア)スタッフを募集しています。もし、「もっと深く関わってみたい」「イベントの裏側を体験したい」と思うなら、絶好のチャンスです。鑑賞パスポートがもらえたり、スタッフ限定のプログラムに参加できたりと、特典もたくさん。他では絶対にできない貴重な体験が、あなたを待っています。興味がある人は、公式サイトの募集ページをのぞいてみてください。

『ひろしま国際建築祭2025』は、ただ建物を眺めるだけのイベントではありません。それは、未来を考え、歴史に触れ、新しい価値観に出会うための壮大な冒険です。この秋、瀬戸内の美しい風景の中で、あなたの世界を広げる旅に出てみませんか?

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