日本郵便の不適切点呼問題、広島県内2局で行政処分:信頼回復への道は?

メモ

全国的な不適切点呼問題による行政処分

広島県内の郵便局も車両使用停止に

日本郵便では、配達員に対する飲酒の有無確認を含む法定点呼が適切に行われていなかった問題が2025年3月に発覚しました。その結果、全国の集配郵便局の約75%(2391局)で不適切な運用が確認され、点呼記録の改ざんも10万2千件に上ったことが明らかにされています。この問題に対し、国土交通省は2025年6月、大型トラックやバン約2500台の貨物運送事業許可を取り消す処分案を示し、日本郵便はこの処分案を受け入れました。

さらに、国土交通省は2025年10月1日、全国111の郵便局に対し、集配の主力である軽バン計188台の使用停止処分を通知しました

広島県内では、尾道郵便局(尾道市)と福山市の神辺郵便局の2局がこの処分の対象となりました。尾道郵便局は軽バン7台が使用停止となり、これは東京の深川郵便局と並んで全国で最も多い台数です。停止期間は、尾道郵便局が最大17日間、神辺郵便局が最大25日間とされており、処分は10月8日から効力を持つことになります。

運輸局による監査と郵便局の対応

この問題を受けて、中国運輸局は5月7日に尾道郵便局に立ち入り監査を実施しています。監査では、点呼に関する書類確認や局員への聞き取りが行われ、法令遵守の状況が調べられました。中国運輸局は、監査結果に基づき、行政処分に当たるかどうかを検討するとしていました。

日本郵便中国支社は、事案を大変重く受け止めており、監査に全面的に協力する意向を示しています。処分期間中の配達業務については、中国支社は他の軽バンや二輪車、近隣郵便局からの応援、他社への委託などで対応可能であるとしています。

広島県内の郵便局で発覚した別の不祥事

免許証偽造と無免許運転の元社員

広島県内の雄鹿原郵便局に勤務していた30代の元日本郵便社員の男性が、有印公文書変造・同行使と道路交通法違反(無免許運転)の疑いで書類送検されていたことが明らかになりました。この男性は、自身の運転免許証の表面に偽造した書類を貼り付け、自動二輪の免許を取得しているかのように見せかけていたということです。

発覚の経緯と懲戒解雇

男性は2025年6月25日以降、3回にわたり乗務前の点呼で偽造免許証を提出し、無免許で郵便バイクを運転していました。しかし、7月1日の点呼の際、管理者が免許証のフォントに違和感を感じたことから偽造が発覚し、同日警察に報告されました。男性は会社側の聞き取りに対し、見栄を張りたいという動機から偽造を認めています。日本郵便は、この男性を8月14日付で懲戒解雇しています。

私の見解

今回の行政処分は、日本郵便の内部統制の甘さが全国的な規模で露呈した象徴的な事例です。点呼という基本的な安全管理手続きが形骸化していたことは、現場の過重な業務や組織文化の硬直性が背景にあると考えられます。単なる事務的ミスではなく、構造的問題として捉える必要があります。

一方で、処分対象となった郵便局が地域の生活インフラを支えていることを考えると、影響は軽視できません。特に地方では郵便局の存在が住民のライフラインに直結しており、今回のような使用停止が一時的であっても、信頼回復には時間がかかるでしょう。再発防止策の実効性が問われます。

さらに、免許証偽造事件のように個人の不正も発生している点は、ガバナンスの脆弱さを示しています。企業としての倫理教育と管理体制の見直しを急ぐべきです。組織の信頼は、内部の誠実な行動の積み重ねによってのみ回復できると感じます。

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