広島県呉市でPFASが指針値の20倍:三原市では基準内にとどまる結果

メモ

呉市郷原町で指針値の約20倍のPFASを検出

広島県呉市では、郷原町にある河川、水路、地下水から、国の暫定目標値を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出されました。呉市が7日に明らかにした周辺調査の結果、河川4地点、水路1地点、地下水2地点の計7地点のうち、5地点で指針値超過が確認されました。

最も高い濃度が観測されたのは東長谷川近くの水路で、1リットルあたり990ナノグラムが検出され、これは国の指針値のおよそ20倍に迫る数値でした。

この調査は、2025年8月に町内の井戸水利用施設から、PFASが暫定目標値の3倍を超えて検出された報告を受けて実施されたものです。今回採水された井戸は飲用ではありません。PFASは発がん性などの健康影響が指摘されていますが、現時点では健康被害の報告はないとされています。呉市は、汚染範囲の把握のためさらに範囲を広げて追加調査を実施する方針であり、市域外の調査についても県と協議する予定です。

三原市本郷町では指針値以下で調査終了

一方、三原市本郷町でも、県が9月22日に日名内川3地点と周辺の地下水2地点でPFASの調査を実施しました。全ての地点からPFASは検出されましたが、最も高い値でも13ng/Lであり、国の指針値を超える値は検出されなかったと県は公表しました。最も高い値が検出された地点は、産業廃棄物処分場の排水が流れ込む場所でした。この調査は、7月に地域住民が実施した調査で指針値を超えるPFASが検出されたという情報提供を受けて実施されましたが、県は今回、指針値の超過がなかったため調査を終了するとしています。

私の見解

今回の調査結果は、生活圏に近い地域で高濃度のPFASが検出されたという点で見過ごせない問題です。特に指針値の約20倍という数値は、環境中での拡散や長期的影響を懸念させます。飲用ではないとはいえ、地下水や水路を通じて地域の生態系や農作物に影響が及ぶ可能性も否定できません。

一方で、三原市では指針値を下回る結果が得られたことは一定の安心材料です。しかし、地域による濃度差の原因を明確にしなければ、今後の予防策を立てることはできません。地形や産業構造、過去の排水経路などを丁寧に分析することが重要だと感じます。

PFAS汚染は全国的にも課題となっており、行政と住民の情報共有が欠かせません。呉市が追加調査を行う方針を示したことは前向きな一歩です。今後は、調査結果の透明な公表と原因究明の徹底、そして安心して暮らせる環境づくりへの長期的な取り組みが求められます。

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