遺族と広島市の和解成立と解決金の支払い
2022年に広島市立保育園で発生し、当時5歳の園児が川で溺れて亡くなった事故について、園児の両親と広島市の間で和解が成立しました。両親は、保育園の体制や安全管理に不備があったとして、広島市に対して約8800万円の損害賠償を求めて提訴していました。
和解の条件として、広島市が両親に対し解決金4000万円を支払うことが決定しました。両親側の弁護士は、この和解は裁判所が広島市に過失があったことを前提として示した和解勧告に基づいていると説明しています。しかし、広島市側は和解に応じたものの、「保育士の過失は認められない」との認識を示しており、両親側は市の認識には隔たりがあるとしています。
遺族が訴える安全確保の必要性と国の配置基準のギャップ
亡くなった園児の母親は、裁判は終結したものの、息子がいなくなった事実や事故当時の気持ちは変わらないと述べています。先日迎えた息子の9歳の誕生日についても触れ、本人がいない中でプレゼントを選ぶのは悲しく、もっと成長した姿を見たかったと心中を吐露しました。母親は、安全な保育園を実現するために、保育士の配置を手厚くするなどの改善を強く求めています。
この事故当時、保育園では2人の保育士が、行方不明となった園児を含む3歳以上の園児24人を担当していました。広島市は、国の法令で定められた最低人数の保育士を配置していたと主張しています。しかし、遺族側の弁護士は、国の基準を満たしていれば安全だと言えるのか、改めて検討する必要があると訴えています。民間企業の調査によると、保育士の配置基準について半数以上が「不十分」だと回答しており、国の定めた基準と保育現場で必要とされる職員数との間に深刻なギャップがあることが示唆されています。
私の見解
和解は遺族の負担を軽くする一歩である一方、市と遺族の認識に隔たりが残る点は看過できません。責任の所在や事実関係を丁寧に明らかにすることが真の解決につながります。
国の基準が現場の実情と乖離しているなら、最低基準の見直しとともに実効性ある人数配置、第三者監査、緊急対応訓練の義務化など具体策を早急に検討すべきです。
事故を教訓に制度改善を進めることが地域の信頼回復につながります。遺族の声を起点に、市・保育所・国が協働して再発防止の具体的計画を示すべきだと強く望みます。
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