中国電力の「経営ビジョン2040」と原子力発電の最大活用

メモ

成長を見据えた中長期経営方針

中国電力は2025年9月30日、2040年度までのグループ全体の新たな「経営ビジョン2040」を発表しました。同社の社長は、電力需要の増加や脱炭素化のニーズの高まりといった環境変化を、グループのさらなる成長に向けた大きな機会として捉えていると述べました。

このビジョンでは、中国地方においてデータセンターの建設などが進むことにより、電力需要が全国平均を上回るペースで伸びると想定されています。具体的な目標として、2040年度の連結経常利益を1600億円(2025年度見通しは850億円)、販売電力量を700億キロワット時(2025年度見通しは574キロワット時)に設定し、成長を目指します。

原発の最大限活用と新規開発への意欲

カーボンニュートラルの実現に向けて、中国電力は原子力発電を最大限に活用する方針を掲げています。

すでに2024年12月に再稼働した島根原発2号機に加え、建設中の島根原発3号機については2030年度までの営業運転開始を目指します。3号機が稼働した場合、発電電力量に占める原子力発電の比率は国の目標である2割を超える、2〜3割程度になる見込みです。社長は、競争力の高い電源構成への転換を目指す考えを示しました。

さらに、社長は、2050年のカーボンニュートラル達成には新規の原子力発電所が必要であるとの認識を改めて示し、山口県上関町での原子力発電所の開発計画に取り組む意欲を表明しました。

中間貯蔵施設と再生可能エネルギーへの取り組み

山口県上関町に計画されている使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、中国電力は建設に適していると判断しています。今後は、施設の事業計画を策定する際に、その規模や地域社会への貢献のあり方について総合的に検討していく方針です。

また、洋上風力発電などの再生可能エネルギーの導入拡大も推進していくとしています。新たな目標として、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量を2035年度までに60%削減することも掲げられています。

私の見解

中国電力の「経営ビジョン2040」は、地域の電力需要増を前向きに捉えた戦略であり、電力会社としての将来像を明確に示したものだと感じます。利益と供給量の数値目標が示されたことで、透明性の高い方針となっています。

一方で、原子力発電の活用はエネルギー安定供給に有効ですが、地域住民の理解や安全性への信頼確保が不可欠です。新規原発開発を見据えた取り組みには、徹底した説明責任とリスク管理が求められると考えます。

再生可能エネルギーや中間貯蔵施設への取り組みは、持続可能性と脱炭素社会実現への道筋を示しています。今後は、原子力と再エネのバランスをどう取るかが焦点となり、企業の姿勢が社会的評価を左右するでしょう。

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