事故発生時の状況と初期捜査
2025年10月14日午後4時半ごろ、広島県府中町柳ヶ丘にある府中南小学校の校門前の町道で、8歳の女子児童が車にはねられる事故が発生しました。女子児童は下校中とみられており、信号機が設置されていない横断歩道を渡っていた際に、直進してきた乗用車と衝突したとされています。児童は全身を強く打ち、頭の負傷により、搬送時には意識不明の重体でした。事故現場は片側1車線で、見通しの良い直線道路であったと報告されています。警察は、車を運転していた57歳の自称パート従業員の女性を過失運転致傷または過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕しました。女性は容疑を認めていますが、その後釈放され、任意で捜査が進められています。
児童の容体回復と地域の懸念
一時意識不明の重体となっていた8歳の女子児童は、その後、意識が戻ったことが10月20日までに判明しました。事故現場である府中南小学校の前については、以前から地域住民による危険性の指摘がありました。同じ小学校の児童の母親は、現場が坂道になっており車がスピードを出しやすく危険だと感じていたと話しています。また、現場付近の住民は、学校の前では車が停止すべきだと考えており、特に夕方の交通量が多い時間帯は危ないため、そこを歩くのを避けていたと述べています。
信号なし横断歩道の安全対策強化
広島県警は、横断歩道における安全確保の徹底を強く呼びかけています。信号機のない横断歩道の手前にはダイヤマークがあるため、ドライバーはこの先の横断歩道を認識し、十分に速度を落として運転することが重要です。しかし、JAFによる2025年9月末時点の実態調査では、広島県内の信号機のない横断歩道での車の一時停止率は58.5%であり、約4割以上の車が停止していない状況です。警察は、ドライバーは歩行者が渡るか分からない場合でも「渡る」ことを前提に一時停止すべきであり、歩行者側も手を挙げるなどして横断の意思を明確に示すことが大切だと強調しています。警察などは、今回の事故の再発防止策を検討するため、10月24日に府中南小学校の関係者や周辺住民らを集めて事故の状況説明と意見交換を行う予定です。
私の見解
今回の事故は、信号のない横断歩道における交通安全意識の差が、いかに大きな悲劇を生むかを示しています。見通しの良い直線道路であっても、ドライバーが速度を落とし、歩行者の存在を常に意識することが欠かせません。道路環境の整備だけでなく、地域全体で安全意識を共有する姿勢が求められます。
児童が意識を取り戻したことは何よりの救いですが、再発防止のためには「ヒヤリ・ハット」を見過ごさない地域の仕組みづくりが重要です。特に通学路における危険箇所の洗い出しや、保護者・教職員・自治体が一体となった現地確認が欠かせません。小さな声を行政に届ける勇気が、次の命を守る力になります。
広島県内では信号のない横断歩道での一時停止率が依然として低く、全国的にも課題が残っています。運転者と歩行者の双方が「思いやり運転・思いやり歩行」を意識することが、地域の安全文化を育てる第一歩です。今回の事故を教訓に、広島から安全な交通マナーの輪を広げていきたいものです。

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