「ハッチポッチ 藤枝リュウジの世界」展、広島での成功裏の閉幕と巡回展の展望(2)

メモ

展覧会は3つの章で構成され、藤枝リュウジ氏のキャリアと創作活動の全貌を多角的に紹介しました。

第1章 藤枝さんのお仕事 (Works)

この章では、藤枝氏がイラストレーターおよびアートディレクターとして手掛けた絵本、広告、装幀、CMなど、クライアントワークが紹介されました。特に、言葉の面白さとイラストの楽しさを味わえる回文絵本『ぞうからかうぞ』(BL出版 1991年) や、著名人がおすすめ絵本を紹介する「ボクニキミニ こどものための100冊」プロジェクト が展示されました。

広島の企業であるアンデルセンとのコラボレーションで生まれた商品紹介絵本「アンデルセンファームのりんごの木」(2019年)も展示され、広島とのゆかりが示されました。

その他、『味の手帖』の表紙イラスト や、キユーピーとの企業コラボレーションによる食育絵本シリーズ、落語家の林家正蔵(旧 林家こぶ平)の広告デザイン、JAGDAのコンペ出品作品『HIROSHIMA APPEALS』ポスター、NHK連続テレビ小説『朝が来た』のタイトルバックのイラスト、正田醬油の『おちょぼ口正油』シリーズのデザイン など、幅広い仕事が紹介されました。

第2章 藤枝さんとこども番組 (Puppet Show)

この章では、藤枝氏がアートディレクションを担当したNHK Eテレのパペット番組シリーズに焦点を当てました。番組のセットやキャラクター、ロゴなどのビジュアルイメージ制作の仕事のほか、番組に登場したポスターやアニメーション、原画作品が多数展示されました。

特に注目されたのは、実際に番組で使われた「ハッチポッチステーション」「クインテット」「フックブックロー」「コレナンデ商会」のメインキャラクターたちのパペット18体が展示されたことです。これらのパペットは、当時の操演者の指導を受けて動きが再現され、来場者から大きな反響を呼びました。オープニングテーマの上映もあり、番組の世界観を深く体験できる機会となりました。

「コレナンデ商会」のキャラクター誕生に至るアイデア・スケッチも公開され、制作の背景を垣間見ることができました。

第3章 藤枝さんのイラストレーション (Illustrations)

藤枝氏のライフワークともいえる個展作品が中心に展示されたのがこの章です。1987年から東京「HB Gallery」で30回以上開催されてきた個展の出品作品は、クライアントワークとは異なる、藤枝氏純粋な「描く悦び」が表現されたプライベートワークとされています。また、本展のために特別に描き下ろされた新作イラストレーションも7点展示され、「ハッチポッチステーション」「クインテット」「フックブックロー」「コレナンデ商会」のキャラクターたちの新しい姿も披露されました。

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