被爆80年をテーマにした大型イベント「HIROSHIMA CONTI-NeW FeS」
音楽・カンファレンス・グルメが融合した3日間
広島では、被爆から80年という大きな節目を迎え、復興の「ゼロからの積み重ね」をクリエーションとイノベーションの証として捉え、創造のスピリットを継承(Continue)し、未来に向けて革新(New)することを目的とした複合型エンターテイメントフェス「HIROSHIMA CONTI-NeW FeS 2025」が開催されました。イベントは2025年10月11日(土)から13日(月・祝)までの3日間、広島グリーンアリーナやひろしまゲートパークなどを会場としています。
主なプログラムとしては、広島グリーンアリーナの大アリーナでのアリーナ音楽ライブ や、小アリーナでのカンファレンスが11日と12日の2日間にわたって繰り広げられました。カンファレンスでは、「継続と革新」をメインテーマに、各界の第一線で活躍するクリエイティブ人材が熱いメッセージを発信しており、登壇者には岡田武史氏、西野亮廣氏、原田隆史氏、藤沢久美氏などが名を連ねています。特に西野亮廣氏は「エンターテインメントとビジネス」をテーマに講演を行い、また、ドイツの英雄である元パラリンピアン、法律家、音楽家であるマシアス・ベルク氏も「JOY OF LIFE」と題して自身の経験を共有しました。
最先端技術の展示と環境に配慮したカーボンオフセット
カンファレンス会場の隣では、最先端テクノロジーやビジネスの展示会が開催され、来場者はAI技術を使って25年後の自分の姿を映し出すコーナーや、テレビ新広島(TSS)の棚田アナウンサーのAIアバターとの交流を楽しみました。また、ひろしまゲートパークでは、広島を中心に全国の「SOUL」フードが集結したグルメイベントが催され、「STREET」文化の象徴である音楽やダンスのステージが展開されました。
このイベントでは、環境に配慮した取り組みとして、カーボンオフセットが実施されています。会場での電力使用や参加者の移動によって排出されると想定されるCO2を相殺するため、中国電力が保有する森林由来のJ-クレジット47トン分が活用されました。これは中国電力にとって、このJ-クレジットの地域での活用は初めての事例となります。
性的マイノリティの理解を広げる「ひろしまプライドパレード2025」
広島で初の単独開催、コンセプトは「今日はわたしを歩いてみたい」
性的マイノリティ(LGBTQ+)への理解を広げ、多様性を社会に発信する「ひろしまプライドパレード2025」が、広島市で初めて単独開催されました。イベントは2025年10月11日(土)に開催され、全国から当事者や支援者など約300人が集まりました。
このパレードは「今日はわたしを歩いてみたい」というコンセプトを掲げ、世代やセクシュアリティを問わず広島に生きる一人一人が、自身の人生を歩いていくことに繋がってほしいという願いが込められています。参加者たちは、メイン会場であるアリスガーデン(広島市中区)を出発し、LGBTQの社会運動を象徴するレインボーフラッグやバルーンを掲げて、本通り商店街など広島市中心部の約1.5キロを練り歩きました。
当事者が抱える現実と広がる企業からの支援
パレードの共同実行代表の一人は、イベントの目的について、広島の街にもセクシュアルマイノリティの人が常にいることを市民や街の人々に伝え、多様性を可視化し、「誰もが生きやすい街」を実現するきっかけを作りたいと述べています。
広島では昔から多くのセクシュアルマイノリティ当事者が暮らしていますが、いまだに当事者であることを表明して生活することが難しい状況があります。広島修道大学教授で共同実行委員長の一人は、23年前に広島に移り住んだ際、活動やコミュニティの不足から閉塞感を感じたものの、現在は日本全体で認知度や理解度は確実に高まっていると分析しました。しかし、個人の生活においては、家族にカミングアウトして受け入れられず深刻な状況にある人もいるなど、幸せを感じられないギャップが存在すると指摘しています。
このような状況において、今回のパレードには、ひろぎんホールディングス、中国電力、マツダといった幅広い企業や団体からの協賛が集まりました。実行委員会はこの企業からの応援が目に見える形で示されることは、当事者にとって大きな励みになるとその意義を強調しています。
私の見解
被爆80年を迎えた広島が、破壊から再生へ、そして創造へと歩みを進めている姿には深い感銘を受けます。「HIROSHIMA CONTI-NeW FeS」は、過去を追悼するだけでなく、未来への希望を形にする新しい挑戦として、多くの人の心に火を灯したように感じます。
そして「ひろしまプライドパレード2025」は、広島が「平和」だけでなく「共生」を掲げる都市へと進化していることを示しています。誰もが自分らしく生きられる社会づくりが、文化と経済の両面で広島をさらに豊かにしていくと感じます。
創造と多様性が交差する広島は、過去の教訓を受け継ぎながら、次の100年に向けて進化する都市の姿を体現していました。平和の原点から生まれた「HIROSHIMA」という言葉が、再び世界に向けて「未来を創る力」として発信されているように思います。


コメント