経済産業省がマイクロン広島工場へ最大5360億円を助成
経済安全保障の観点から半導体生産を強化
経済産業省は9月12日、アメリカの半導体大手マイクロン・テクノロジーの子会社であるマイクロンメモリジャパンの広島工場に対し、最大5360億円もの大規模な助成を行うことを発表しました。この支援は、経済安全保障上の重要性が高まる半導体の国内生産体制を強化することを目的としています。
次世代DRAMの生産基盤強化と研究開発を強力に後押し
具体的には、東広島市にあるマイクロンメモリジャパンの広島工場が目指す次世代DRAMの量産計画に対し、生産基盤の強化に最大5000億円、エネルギー効率改善を含む研究開発の推進に最大360億円が支援されます。マイクロンメモリジャパンは、この大規模な支援に対して「広島工場の生産基盤強化に向けた継続的な支援に深く感謝する」とのコメントを発表しました。
次世代DRAMとは?
AI・自動運転を支える高性能半導体
マイクロンメモリジャパンが広島工場で量産を目指すのは、生成AIや自動車などに不可欠な先端半導体である次世代DRAMです。この次世代DRAMは、既存のDRAMと比較して記憶容量が大幅に増え、データ処理を高速化する能力を持っています。
これにより、AIや画像処理、自動運転などの技術性能が飛躍的に向上すると期待されています。生成AIの普及に伴い、次世代メモリ半導体の需要は急速に拡大しており、その重要性は増すばかりです。
地域経済への多大なインパクトと期待
東広島市長、広島県知事も計画を歓迎
東広島市の高垣広徳市長は、国の支援額が東広島市の5年分の予算に相当する規模であることに触れ、今回の計画が「まちづくりにも大きなインパクトを与える」と期待を表明しました。また、湯崎英彦広島県知事も、「広島県経済の活性化に大きく貢献するとともに、若者に魅力的な先端・成長産業である半導体関連産業の集積強化に寄与する」と、この計画を歓迎する姿勢を示しています。
雇用の創出とサプライチェーン強化への貢献
経済産業省は、今回の追加支援が地域の雇用を支えるだけでなく、経済安全保障上重要な半導体の国内生産体制の強化にも繋がるという狙いを持っています。
また、マイクロンが生産拡大に伴う新規採用の継続や、需給が逼迫した際に日本政府の要請に応じて可能な限り増産を実施する計画であることも、支援決定の重要な要因となりました。
広島県は、国や東広島市と連携し、インフラ整備などの継続的な支援を約束しています。
私の見解
今回の支援は「経済安全保障と産業政策を重ね合わせた大型投資」であり、短期的には地域経済を潤し、長期的には日本の半導体戦略の成否を左右する重要な分岐点といえます。
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