備後漬物グループの岡本食品が福山に第2工場新設

メモ

高まる世界需要に対応!福山に新生産拠点を設立

第2工場設立の背景と概要

広島県福山市に本社を置く冷凍食品製造の岡本食品は、高まり続けるたこ焼き需要に対応するため、同市内に第2工場を新設し、生産能力の増強を進めています。たこ焼き市場は、世界的な人気の高まりインバウンド需要の増加により拡大傾向にあり、海外で喫食する機会も増えています

既存の本社工場は、製造レーンが2交代制で連日フル稼働している状態です。現在、1時間に20,700個を製造していますが、数年前から需要に追いつかない状況が続いています。この需要不足を解消するため、岡本食品は現在の約1.4倍の規模となる第2工場を福山市駅家町の福山北産業団地に稼働させる計画です。

この場所は、備後漬物グループの本社工場東側の旧・(株)ベジタコーポレーションの工場跡地(敷地面積5,000㎡)を改装して利用されます。

第2工場は2026年5月の稼働開始を目指しており、これにより同社の冷凍たこ焼きの生産能力は従来の約2倍に増強される見込みです。建設工事は既に始まっており、2026年4月末に完工し、テスト生産を経て本稼働となる予定です。新工場での従業員数は30名が計画されています。

丸型たこ焼きへの新規参入

岡本食品はこれまで、本社工場では「釣鐘型たこ焼き」を製造してきました。一方、新設される第2工場では、新たに「丸型たこ焼き」の量産体制を整えます。丸型たこ焼きは、業務用として主流の形状であり、海外の人がたこ焼きと聞いてイメージする形状でもあります。

西澤道夫社長は、現在製造している釣鐘型(底が平たい形状)に加え、新たに業務用の展開や海外市場を視野に入れ、丸いたこ焼きの製造を目指すと説明しています。これにより、同社は丸型と釣鐘型の両形状に対応する製造体制を確立し、多様な消費者の嗜好に応じた商品展開を進めていきます。

成長戦略とグローバル展開の具体策

売上倍増を目指す挑戦

岡本食品は、今回の新工場設立を成長戦略の一環と位置付けており、今後5年間での売上倍増を目指しています。さらに、長期的には10年後には現在の10倍にあたる100億円を売り上げる企業を目指すという意欲的な目標も掲げられています。

西澤社長は、たこ焼きが日本だけでなく世界中で親しまれる食文化になったことを強調し、第2工場の設立は国内に留まらず、グローバル市場へ踏み出す大きな挑戦であると述べています。また、国内顧客への提供はもちろんのこと、将来的には生産量の約3割を海外に輸出し、グローバル市場を開拓したい考えです。

国内外の市場開拓

冷凍たこ焼きは、新型コロナウイルス感染症以降、家庭での食事増加や手軽さから注目を集め、「爆売れ」しており、特に単身世帯や共働き世帯からの人気が高まっています。

市場展開において、同社はまず備後漬物グループの販売ルートを活用し、中四国地区でのシェア拡大を目指します。さらに、単身世帯や共働き世帯が多い関東圏の市場への参入も視野に入れています。

海外展開については、東南アジア(特にベトナムやインドネシア)を中心とし、中国向けの輸出にも着手する計画です。たこ焼きが日本のソウルフードとして、海外市場でも日本のファーストフードとして開拓されることが期待されています。

岡本食品の製品と品質へのこだわり

シンプルながら奥深い製品の魅力

岡本食品の冷凍たこ焼きは、その品質とコストパフォーマンスの高さが特長です。

【製品のこだわり】

  1. 原料選定と生地: 原料となるたこは海外から直接買い付けも行われています。生地の配合や冷凍加工に独自の技術を持ち、ネギや紅生姜をあえて入れず、たこと国産キャベツのみを使用するシンプルな構成です。シンプルだからこそ、好みの味付けやトッピングで楽しむ幅が広がり、冷凍することで生地の味が凝縮されるのが美味しさの秘訣です。
  2. 食感の追求: 冷凍品でもふわとろ食感を追求しており、口触りがトロッとした食感を出すために、季節ごとに水分量を細かく調整しています。
  3. 大容量パックと価格: 1個1個が小ぶりで食べやすく、食事だけでなくおやつにも適しています。35個入り、40個入り、業務用50個入りなどの大容量パックで提供され、必要な時に手軽に食べられる利便性があります。また、1個あたり約15円という高いコストパフォーマンスも魅力です。

製品情報(一部)

  • 主な商品:国内製造たこ焼き【40個入り / 35個入り / 50個入り(業務用)】
  • 保存方法:要冷凍(-18℃以下)
  • 原材料名:小麦粉(国内製造)、たこ、キャベツ(国産)、鶏卵など
  • アレルギー物質:小麦、卵、大豆が含まれます(使用しているたこはエビ・カニを食べています)。

備後漬物グループ傘下でのシナジー効果

2024年3月の子会社化

岡本食品は、2024年3月14日の取締役会決議により、備後漬物株式会社(本社:福山市)が全株式を取得し、子会社化されました。これにより、岡本食品は備後漬物グループの一員として新体制をスタートさせています。

当時の代表取締役社長は岡本大輔氏でしたが、株式譲渡後はその職を退き、特別顧問として社業の発展に引き続き努めています。株式譲渡契約締結日と同日に、西澤道夫氏が代表取締役社長に就任しています。

備後漬物グループは、長期ビジョンとして「企業グループで300億円の売上規模と10人の経営者層の輩出」を掲げており、岡本食品の子会社化はその一環として実施されました。

子会社化の理由として、両社が福山市に本社を構え、一部の取引先や販売先が重複していることから、購買面、販売面、物流面でのシナジー効果が期待されています。さらに、備後漬物グループの開発力や財務力が岡本食品の更なる飛躍を支えるとともに、岡本食品の持つ冷凍ノウハウをグループ内で共有できることも期待されています。

備後漬物グループはこれまで、キムチ・漬物、鶏卵加工食品などを展開してきましたが、岡本食品の冷凍食品が加わることで多角化が進み、幅広い食品を提供し、食を通じて顧客に幸せと感動を届けていく方針です。

私の見解

の工場設立は「世界市場で勝負するための布石」であり、岡本食品は福山から“グローバル冷凍たこ焼き企業”へ進化していく重要な一歩だと考えます。

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