是正されない格差と憲法平等の主張
参院選格差が最大3.13倍に拡大
2025年7月に行われた参議院選挙において、議員定数が選挙区の人口に比例しておらず、憲法が保障する選挙権の平等に反するとして、弁護士らが選挙無効を求めた裁判が広島高裁で開始されました。原告側は、参議院選挙の「一票の格差」が前回選挙の最大3.03倍から、今回は最大3.13倍に拡大した点を指摘し、憲法違反の状態だと主張しています。
原告側が指摘する日本の選挙制度の異質性
原告側は、日本が非人口比例選挙となっており、世界標準の方法から極めて逸脱していると強く主張しました。この裁判は、広島県選挙区と山口県選挙区の選挙無効を求めて、有権者2人と弁護士グループがそれぞれの県選挙管理委員会を相手取って提訴したものです。
判決の焦点と今後の動向
被告側は「著しい不平等ではない」と主張
一方、被告である県選挙管理委員会側は、格差は3倍程度で推移しており拡大傾向とは言えないため、「著しく不平等な状態にあったとは言えない」として、訴えの棄却を求めています。
全国で展開される選挙無効訴訟の動向
この裁判は10月7日で結審し、判決は11月25日に言い渡される予定です。なお、「一票の格差」を巡っては、全国すべての選挙区で選挙の無効を求めて、2つの弁護士グループが訴訟を起こしています。
私の見解
選挙の「一票の格差」は、単なる数字上の差ではなく、国民の政治的平等を根本から揺るがす問題だと考えます。人口変動が続く中で、制度改正の遅れが国民の信頼を損なう結果を招いているのは否めません。
憲法が定める「法の下の平等」を真に実現するには、国会が責任を持って是正に踏み出す必要があります。裁判による判断を待つだけでなく、制度そのものを持続的に見直す仕組みが求められると感じます。
格差問題の本質は、地方と都市の人口構造の変化をどう政治的に反映させるかという課題にあります。公平な代表性を確保するため、国民一人ひとりの声が等しく届く選挙制度の再構築が不可欠です。


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