物価高・人手不足・インバウンドという複合課題への挑戦
広島経済大学の細井ゼミナールとオタフクソース株式会社は、広島のソウルフードであるお好み焼き店が抱える経営課題に対し、学生目線でのマーケティング提案を行う共同研究会を2025年9月10日に開催しました。
新型コロナウイルスの5類移行により外食や観光需要は回復傾向にあるものの、お好み焼き業界は物価高による仕入れ価格の高騰、人手不足、人件費の高騰といった問題に直面しています。この研究会は、包括連携協定に基づき実施され、学生たちは15〜16店舗のお好み焼き店にヒアリング調査を実施しました。
提案された打開策は多岐にわたり、深刻な人手不足を解消するためのお好み焼き店専門の人材マッチングアプリの開発 や、お好み焼き店の魅力をアピールする専用アプリの制作、さらにはVTuberフェスの開催 など、若者らしい新鮮なアイデアが発表されました。
インバウンド観光客へのきめ細やかな対応
増加する外国人観光客(インバウンド)への対応も重要なテーマとなりました。学生からは、インバウンド客の食体験における課題(例えば、鉄板で焼かれる匂いやソースの成分確認など)が指摘されました。
中国人留学生のチームは、中国の食文化に合わせて、ラー油や黒酢、花椒パウダーなどのトッピングを追加すること、そしてメニューに「中国人におススメ」「中国人に大人気」といった目を引く工夫を加えることを提案しました。
オタフクソースの担当者は、これらのアイデアが詳細まで踏み込んでおり、実現可能な仕組みになっていると高く評価しました。
私の見解
広島経済大学の細井ゼミナールとオタフクソースの共同研究会は、地域産業の課題に対し「学生目線」を積極的に活用した先進的な取り組みです。お好み焼き業界は物価高や人手不足、インバウンド対応という複合的な課題に直面していますが、学生たちの提案は単なる理論ではなく、実務的な解決策に踏み込んでいる点が評価できます。
人材不足に対する専門アプリや、インバウンド客に向けたメニューのカスタマイズ、VTuberフェスといった若者目線の施策は、既存の店舗運営に新たな付加価値をもたらす可能性があります。また、特定ターゲット(中国人観光客)への具体的な対応策は、地域経済と観光の活性化に直結する実践的提案です。地域密着型の産学連携の成功例として注目できます。
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