アストラムライン延伸計画「西風新都線」:高騰する総工費と住民の懸念

メモ

計画概要と公表された影響調査

アストラムラインの延伸計画「西風新都線」は、広域公園前駅からJR西広島駅までの約7.1kmを結び、2036年頃の開通を目指しています。9月25日に地域住民約70人を対象とした説明会が開催され、工事中や開通後の環境影響予測結果が広島市から公表されました。

市は、運転による振動や騒音はほとんどが基準値を下回り、低減されていると説明しました。また、トンネル掘削による地盤沈下は起こらないという見解を示しています。

住民からの採算性や用地買収への厳しい意見

予測結果では、電波や日照については一部で影響が出る可能性があり、市は状況に応じて補償する方針です。しかし住民からは、環境面だけでなく、当初約570億円だった工事費用が物価高騰の影響でおよそ760億円に膨れ上がったことを受け、この費用に見合う経済効果(採算性)が得られるのかという疑問の声や、用地買収についての具体的な説明がないことへの不安が寄せられました。

延伸区間沿線の住民は、移転を迫られる立場として、具体的な計画を早めに知りたいと要望しています。また、延伸によりバス路線の形態が変わる可能性があることについても、市は再編を考慮した上で事業を進めると説明しています。

市の対応と今後の見通し

広島市交通施設整備部の担当課長は、住民の不安を十分感じたとし、今後は具体的な設計が進むことで不安が解消されるだろうとして、引き続き丁寧な説明を心掛けたいと述べました。

市は、延伸がアクセス性の向上、沿線開発、人口増加といったメリットをもたらすと期待しています。市は来月末まで住民からの意見書を受け付け、その後見解を示し、都市計画決定に向けた手続きを進める予定です。

私の見解

西風新都線の延伸は、都市交通の利便性向上沿線開発の促進という点で長期的メリットがありますが、住民説明会の内容を見ると、懸念は「環境影響」よりも「採算性」と「用地買収」に集中している印象です。

特に、工事費用が570億円から760億円へと約190億円も増加している点は、将来的な市の財政負担や市民生活への影響が避けられません。また、移転を迫られる住民にとって、生活基盤が大きく変わるため、補償や移転後の生活環境について早期に明示することが不可欠だと思います。

さらに、延伸に伴って既存のバス路線が再編される可能性は、高齢者や交通弱者にとって大きな関心事であり、市の交通政策全体の中でどう位置づけるかが今後の焦点になるでしょう。

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