秋の気配と気象の急変
9月下旬の広島県内では、一日の気温変化が大きくなっています。9月22日朝は、上空の寒気と放射冷却の影響で、庄原市高野や神石高原町油木で12.6℃を観測し、この秋一番の冷え込みとなり肌寒さが感じられました。広島市中区でも20.3℃を記録し、県内の全観測地点でこの秋最も低い最低気温となりました。
この寒暖差の大きい気候の中、秋の風物詩も見られています。三次市では、早朝、中国山地の山々に囲まれた盆地全体が霧に覆われる「霧の海」シーズンを迎えました。これは江の川など3つの川が合流する珍しい地形のためで、冷気が水面に流れ込むことで発生します。
また、広島市の縮景園では、秋の訪れを告げるフヨウや秋の七草のハギが咲き始めていますが、猛暑の影響で例年より開花が遅れている状況です。特に「スイフヨウ」は朝は白く、夕方にはピンクに色を変えることで知られています。
9月18日には前線が中国地方を南下した影響で県内では強い雨が降り、この日は8月10日以来39日ぶりに全観測地点で最高気温が30℃を下回りました(大竹29.4℃、広島市中区28.9℃など)。しかし、その後も日中の最高気温が30℃前後となる残暑は続いており、24日(水)は福山で30.9℃を記録するなど、蒸し暑い一日となりました。
10月は残暑と多雨傾向、冬は寒くなる予想
長期予報:季節の進みは遅く、急激に冬へ
気象庁が発表した最新の3か月予報と寒候期予報によると、この先の季節変化には大きな特徴があります。
- 10月の傾向 10月は夏の高気圧の後退が鈍く、中国地方(山陽)の平均気温は平年を上回る可能性が高いと予想されています。そのため、残暑が厳しく、季節の進みは遅い見込みです。降水量については、平年並みか多くなる予想です。南からの湿った空気の影響を受けやすい時期があるため、雨が降る際には一度の降水量が急増しやすい状況が予想されています。
- 11月以降の傾向 11月に入ると、それまでの高温傾向から一転し、気温はほぼ平年並みに戻る予想です。11月後半からは一気に季節が進み、急に冬が到来する見込みです。
- 冬(12月~2月)の傾向 12月には冬型の気圧配置が強まる時期があると予想されており、気温は平年並みか平年より低くなる見込みで、「冬らしい冬」が到来すると予測されています。この冬は期間の前半を中心に寒気の影響を受けやすいでしょう。西高東低の冬型の気圧配置が強まるタイミングも見込まれるため、海面水温が高い影響もあり、山陰や中国山地ではしぐれによる雪の量が増える可能性があります。一方、山陽地域では、冬型の気圧配置が強まることで低気圧の影響を受けにくくなり、降水量は平年並みか平年より少ない見込みです。
しばらくは朝晩はひんやりし、日中との寒暖差が大きい日が続くため、体調管理に注意が必要です。また、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、彼岸を過ぎても厳しい残暑が続く見通しです。
私の見解
今年の広島県は、秋の訪れが例年よりゆっくりで、日中の残暑と朝晩の冷え込みが同居する不安定な気候が続いています。このような急激な寒暖差は、体調や生活リズムへの影響が大きいため、服装や食事、睡眠の工夫が必要です。
また、秋の風物詩である「霧の海」やフヨウの開花など、季節の美しさを感じられる一方で、気象変化の激しさが自然や農作物への影響も及ぼすことを意識する必要があります。
10月の残暑や多雨傾向、冬の寒気到来を見据え、日々の暮らしを少し先取りして準備することで、健康と自然の変化の両方をより豊かに楽しむことができるでしょう。
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