
デザイン:原研哉
建築祭のシンボルとなる「小さな建築」
「移動型キオスク」プロジェクトの展望
「移動型キオスク—小さな建築プロジェクト」は、建築祭の「思想の入り口」や来場者との「対話の場」として機能する、広島の人・建築・地域・自然をつなぐ象徴的な装置です。
今回は堀部安嗣氏、中山英之氏、石上純也氏の3名による作品が設置されます。 このプロジェクトは3年に一度、新たなキオスクを増やしながら発展し、第3回建築祭(2031年予定)では、過去のキオスクを集めた「キオスクマルシェ」の開催も検討されています。
石上純也氏「雲がおりる」
JR福山駅南口に設置予定も輸送遅延、臨時インフォセンターで対応
JR福山駅南口の駅前広場には、建築祭の玄関口として、石上純也氏が設計したインフォメーションセンター「雲がおりる」が設置される予定です。この作品は、情報提供の場であると同時に、雲が優しく陸に触れるかのような、彫刻作品としての佇まいを持ちます。
作品は、地元企業の常石造船とツネイシカムテックスの支援により実現しました。石上氏は、この小さなキオスクが、船を建造する際の鋼板を三次元に曲げ溶接する技術を用いて作られたと説明しています。おきあがりこぼしの原理で設置され、倒れそうで倒れないギリギリの感覚が「雲が優しく陸を触るような感覚」を想起させます。
※「雲がおりる」は、海外での制作完了後、台風などの天候の影響で輸送が遅れており、設置が遅延しています。石上氏設計のキオスクが到着するまで、JR福山駅南口に仮設のインフォメーションセンターが設置されています。なお、石上氏本人が10月6日(月)10:00〜10:30にJR福山駅南口に滞在し、作品についての説明を行う予定です。
堀部安嗣氏「つぼや」
神勝寺の枯山水庭園に木造建築が登場
建築家・堀部安嗣氏による「つぼや」は、神勝寺 禅と庭のミュージアム内の作庭家・中根金作氏による枯山水「無明の庭」に期間限定で設置されます。
堀部氏は、日本の伝統的な手刻み大工技術を継承するため、このプロジェクトを良い機会としたいと述べており、一坪(6尺四方)という人の住まいの基本単位を作品に落とし込んでいます。作品はウッドワンが提供する優良な吉野檜無垢材を使用し、羽根建築工房が組み上げます。協賛のウッドワンは、本祭が世界中の建築家と地域の思いをつなぐ場となることを願う意向を示しています。
中山英之氏「風景が通り抜けるキオスク」
ONOMICHI U2のウォーターフロントで子供向けワークショップも
建築家・中山英之氏による「風景が通り抜けるキオスク」は、尾道市のONOMICHI U2に隣接するウォーターフロントのオリーブ広場に設置されます。透明な膜材の2つの小さな建築で構成され、蓋が開くと屋根となり、子供向けのワークショップなどが予定されています。
中山氏は、このキオスクが瀬戸内の島々が結びつくように二つの建築が手をつなぎ、半透明な素材を通して収納物が風景を背景に浮かぶ様子を、尾道の海と空に毎日違う絵を描き込むスケッチブックに例えています。協賛は、独創的なものづくりの場「molten [the Box]」を持つ株式会社モルテンです。
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