待望の運行復活劇!休止から1年4か月を経て「新広益線」が再始動
運休の背景と地域からの強い要望
広島県広島市と島根県益田市を安芸太田町経由で結ぶ長距離路線バス「新広益線」(益田~戸河内~広島)が、令和7年10月1日(水)から運行を再開しました。この路線は、運転手不足と利用者の減少を主な理由とし、昨年(2024年)6月16日から全便運休となっていました。
しかし、沿線住民にとってこの路線は生活の「足」として不可欠でした。運休から約3か月後には、安芸太田町の住民から、通院や広島市内への買い物に不便が生じたという声が寄せられ、地元の一般社団法人「地域商社あきおおた」が中心となり、運行再開に向けた協議が石見交通など関係団体と進められてきました。運行会社である石見交通によると、一度休止したバス路線を復活させるのは全国的にも珍しい事例であるとのことです。
再開を祝う式典と喜びの声
運行再開日には、安芸太田町の戸河内ICバスセンターにて再開セレモニーが開催され、約60名の関係者が出席しました。関係者からは、この路線が学生や生徒の通学にも非常に便利になり、喜びの声を聞いているとの発言がありました。また、沿線住民からは、バスがなくなると過疎地になったように感じていたため、再開は非常に助かるといった、安堵と感謝の言葉が聞かれました。運行を担う石見交通の社長は、3往復の運行継続は困難を伴うが、地域の強い熱意に応えて再開に踏み切ったと述べました。
運行を支える新愛称と路線詳細
「グリーンシャワー号」の誕生
運行再開にあたり、この路線には「グリーンシャワー号」という愛称がつけられました。この愛称は公募によって集まった84作品の中から選定され、命名の理由として「緑豊かな美しい景色の中を走るバスだから」という点が挙げられました。この愛称は今後、バス停や車両、ポスター、チラシなどに使用される予定です。
新広益線は、もともと1994年5月24日に広島電鉄と石見交通の2社共同運行で開設されましたが、2015年11月1日以降は石見交通による単独運行となっていました。
運行頻度と所要時間
この路線は毎日1日3往復運行されます。広島駅(JR広島駅南口から広島新幹線口へ変更)と益田駅の間を、片道およそ3時間で結びます。バスは補助席10席を含め全55席で運行されます。
広島方面の運行は、益田駅前を7:00、10:30、17:00に発車します。益田方面の運行は、広島新幹線口を10:50、13:20、16:30に発車します。
利用情報と今後の持続可能性への挑戦
運賃と主要停車地、車内サービス
益田~広島間の運賃は、大人片道4,200円、往復7,600円(小人は片道2,100円、往復3,800円)です。
主要な停車停留所は、益田駅前、石見交通本社前、安芸太田町役場、戸河内ICバスセンター、広島北インター、中筋駅、広島バスセンター、広島新幹線口などです。再開に伴い、豊川と久々茂の停留所が新設されました。
乗車時の注意点として、バス車内にはトイレが設置されていませんが、途中の出合原でトイレ休憩があります。また、全席自由席で、車内ではWi-Fi FREEの利用が可能です。
利用可能なICカードは、ICOCAをはじめ、Kitaca、PASMO、Suica、manaca、TOICA、PiTaPa、はやかけん、nimoca、SUGOCAの全国共通系10種類に対応しています。
特有の乗降制限と経営維持の取り組み
広島市内の一部の停留所には乗降制限があります。中筋駅と広島バスセンターは、広島行きの場合は降車のみ、益田行きの場合は乗車のみ可能です。また、広島バスセンターと広島新幹線口の相互間での旅客輸送は行いません。冬季には降雪状況により運休する可能性があるため、事前に運行状況の確認が必要です。
運行を継続し、路線の維持を図るため、今後は安芸太田町の地域商社と石見交通が連携し、乗客だけでなく野菜や海産物などの荷物も輸送する「貨客混載」といった取り組みを実施し、経営の黒字化を目指す方針です。
私の見解
新広益線の運行再開は、地域住民にとって待望の朗報です。長距離バスが生活の足として重要であることを改めて示し、通院や買い物、通学の利便性が大幅に向上しました。運行休止の影響から立ち直るために、地域と交通事業者が協力した点は非常に意義深いです。
「グリーンシャワー号」という愛称の導入は、地域の魅力を発信する工夫として評価できます。緑豊かな景観を楽しみながら移動できる路線であることを象徴しており、住民の親しみやすさや観光資源としての価値向上にもつながるでしょう。
今後の持続可能性の課題も見逃せません。運行本数や収益確保の面では課題があるため、貨客混載など地域特性を活かした取り組みが重要です。地域の強い支援と工夫により、この路線が長く運行され続けることを期待しています。
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