国内初のマルミミゾウ出産、安佐動物公園の「メイ」がオスの子を育む
広島市安佐北区にある安佐動物公園で、国内初となるマルミミゾウの出産を記念した企画展が開催されています。メスの「メイ」が2025年8月5日にオス の赤ちゃんを出産しました。この出産は世界的にも希少な出来事であり、国内での繁殖成功は初めてのことです。
赤ちゃんは誕生から1か月が経過した9月5日時点で、体重が107キログラムに達し、毎日500グラムから1キログラムずつ成長しています。日々足取りがしっかりとし、好奇心旺盛な様子を見せています。例えば、水をかけると地面に伏せて遊んだり、母親のメイの食べ物に鼻で器用に触れたり持ち上げたりする姿が確認されています。先月下旬には、草や葉などをすりつぶす奥歯が1本生えているのも確認され、すべて生えそろうと4本になるそうです。
母親のメイも育児が順調に進んでおり、人工ミルクを与えようとする飼育員から赤ちゃんを守ろうとする様子が見られるなど、母子の絆も深まっています。
妊娠から出産、そして未来へ:企画展と今後の予定
企画展では、メイが2001年に安佐動物公園に来園してからの妊娠、出産に至るまでの詳細な経過が、画像や映像を交えて展示されています。メイの妊娠中のエコー検査画像では、胎児の段階でゾウ特有の鼻の2つの穴や長い尾が確認できる様子も見ることができます。会場には、メイと赤ちゃんへのメッセージを書き込むブースも設けられており、「出産おめでとう」「元気に大きくなってね」といった温かいコメントが多数寄せられています。この企画展は2025年10月13日まで開催される予定です。
現在、赤ちゃんは毎日母親のメイと一緒に過ごしており、一般公開はまだ先ですが、ゲートや岩の隙間から2頭の姿が見えることもあり、訪れた人々はカメラやスマートフォンでその姿を撮影しています。安佐動物公園は、今後、人前に出る訓練を重ね、秋ごろに一般公開と名前の募集を予定しています。赤ちゃんの名前は、公募を含めて検討される予定です。飼育担当者は、万全の状態で赤ちゃんを来園者に見てもらうことを目指しており、一般公開までもう少し待ってほしいと呼びかけています。
私の見解
マルミミゾウはアフリカゾウの中でも亜種とされる存在で、飼育個体数自体が非常に少なく、繁殖例はきわめて限られています。そのため今回の安佐動物公園での出産は、日本だけでなく世界的にも価値のあるニュースであり、国際的な保全研究にとっても大きな意味を持つと考えます。
企画展では妊娠から出産までの軌跡が画像や映像で紹介され、来園者がゾウの生態を具体的に学べる機会となっています。単なる展示ではなく、科学的データの公開や普及活動につながっている点は、動物園の本来の使命(教育・研究・保全)を果たすものとして高く評価できると思います。
メッセージブースを設けて祝福の言葉を集める仕掛けは、来園者が「動物の命の成長に参加している感覚」を持てる工夫です。こうした仕組みは動物への関心や愛着を育て、ひいては環境保護や野生動物保全への意識向上にもつながるでしょう。
母ゾウのメイが飼育員から赤ちゃんを守る姿は、母性の自然な表れであり、野生動物としての本能を感じさせます。人工的な飼育環境の中でも、動物本来の行動がしっかりと発揮されていることは、飼育環境の質の高さを物語っていると感じます。
参照
企画展「メイ、母になる ~マルミミゾウ国内初繫殖に向けて~」(7/26~10/13)|top04_イベント|イベント一覧|お知らせ・イベント|安佐動物公園 asazoo
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