2026年1月6日、午前10時18分。足元の地面が私たちに強力な真実を突きつけました。多くの人が感じた「ガタガタ」という突然の揺れ。その原因は、島根県東部で発生した大きな地震でした。
広島県内でも最大震度4を記録し、けが人が出て交通は大混乱に陥りました。地震は、本当に「他人事」なのでしょうか。この記事では、今回の地震の詳細、広島への具体的な影響、そして専門家の分析を交えながら、私たちが今後どのような点に注意し、備えるべきかを詳しく解説します。
1. 地震の基本情報:何が起きたのか?
まず、気象庁が発表した今回の地震の基本的な情報を客観的な事実として確認しましょう。情報は速報値から更新されているものもあります。
- 発生日時: 2026年(令和8年)1月6日 午前10時18分頃
- 震源地: 島根県東部
- 震源の深さ: 約11km(暫定値、速報値の約10kmから更新)
- 地震の規模 (マグニチュード): 6.4(暫定値、速報値の6.2から更新)
- 最大震度: 震度5強(鳥取県境港市・日野町・江府町、島根県松江市・安来市)
- 地震のタイプ: 西北西―東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型
- 津波の心配: なし
2. 広島県の揺れと被害状況
この地震により、広島県内でも広範囲で強い揺れが観測されました。広島市安芸区、福山市、庄原市など、県内11の市と町で震度4を記録しました。
県内では、あわせて3人のけが人が報告されています。福山市では90代の女性が屋内で転倒し打撲などの軽傷を負いました。また、福山市のスーパーの総菜コーナーでは調理中だった20代の女性従業員の足に油がかかり火傷を負ったほか、広島市内でも従業員1人に油がかかる被害がありました。
3. 交通機関への広範な影響
地震の影響は、県民の足にも直撃しました。山陽新幹線は停電のため、新大阪駅と博多駅の間で一時運転を見合わせました。JR広島駅の新幹線コンコースは、大きなスーツケースを持った旅行客たちの戸惑いや焦りで膨れ上がり、多くの人々が旅の予定を突然絶たれることになりました。
山陽新幹線は同日の午後1時に全線で運転を再開しましたが、その後もダイヤの乱れは続きました。地域の大動脈である新幹線の麻痺は、地震の揺れが遠い出来事ではなく、私たちの生活と経済に直結する混乱であることをリアルタイムで示しました。
このほか、芸備線などの在来線の一部で遅れが出たほか、山陰道や中国やまなみ街道などの高速道路も一時通行止めとなりましたが、これらは同日中に解除されています。
4. 専門家が分析:これは南海トラフと関係あるのか?
内陸で大きな地震が起きると、多くの人が巨大地震「南海トラフ地震」との関連を心配します。この点について、地震学の専門家は、今回の地震が「横ずれ断層型」であると分析します。これは、地球の巨大なプレート2枚が上下に動くのではなく、水平方向に互いに擦れ合うようにずれるタイプの地震です。
中国地方は「水平方向に圧縮の力が卓越」している地域です。活断層に詳しい専門家も、この地域が「ひずみ集中帯」と呼ばれる地震活動の活発なエリアであると指摘しており、こうした内陸地震が起こりやすい地質学的背景があります。
そして、最も重要な南海トラフ地震との直接的な関連性については、ある程度切り離して考えてもいいとしています。内陸の地震が海溝のほうの内海トラフ巨大地震を引き起こす可能性は限りなく低いと考えられています。
つまり、今回の地震が南海トラフ巨大地震の直接的な引き金になる可能性は極めて低いと考えられます。
5. もう一つの揺れ「長周期地震動」とは?
今回の地震では、鳥取県西部で「長周期地震動 階級4」、島根県東部で「階級2」という特殊な揺れが観測されました。
「長周期地震動」とは、その名の通り「周期が長い、ゆっくりとした大きな揺れ」のことです。この揺れは、特に高層ビルを共振させ、大きく長く揺らすという特徴があります。階級4は最も大きいレベルで、「立っていることができず、這わないと歩けない」ほどの激しい揺れを指します。
注目すべきは、この揺れが遠くまで伝わる性質です。震源から数百キロ離れた大阪府北部や福岡県筑後などでも階級1が観測されました。これは、広島のような都市部でも、高層マンションの上層階や高層ビルで働く人々にとっては、震源が遠くても決して無視できない揺れであることを示唆しています。
高層ビルの中にいる場合、地面で感じる震度よりもはるかに強く、長い揺れに襲われる可能性があることを覚えておいてください。安全行動の基本は、滑ったり倒れたりする可能性のある大きな家具から離れ、身を確保することです。
6. 二次災害のリスク:地震後の大雨に注意
大きな地震の後は、直接的な揺れだけでなく二次災害にも警戒が必要です。地震によって地盤が緩み、普段なら問題にならない程度の雨でも土砂災害を引き起こす危険性が高まります。
このため気象庁と国土交通省は、特に揺れが大きかった島根県と鳥取県の一部の市町を対象に、「土砂災害警戒情報」と「大雨警報・注意報」の発表基準を、当面の間、通常の「8割」の雨量に引き下げて運用することを発表しました。
この措置は震源域が対象ですが、強い揺れで地盤が緩むという原理はどこでも同じです。広島県内でも、今後の気象情報にはこれまで以上に注意を払う必要があります。
7. 今後の見通しと警戒すべきこと
今後の地震活動について、気象庁と専門家は引き続き注意を呼びかけています。
気象庁は「地震発生から1週間程度、最大震度5強程度の地震に注意」を促しており、特に「2~3日程度は、強い揺れをもたらす地震が発生することが多くあります」と短期的な警戒を強調しています。
一方で専門家は、より長期的な視点での備えを怠ってはならないと警告します。今回の震源周辺や、広島県との県境にあたる庄原市周辺で、今後マグニチュード6クラスの地震が起こる可能性について、「(今後)10年、20年の中では十分あり得ること」と指摘しています。
つまり、今後数日間の強い余震という「急性期のリスク」と、数十年単位で続く内陸地震の「慢性的なリスク」の両方に、私たちは備えなければならないのです。
まとめ:地震から何を学ぶか
2026年1月6日の島根県東部地震は、広島県にも震度4の揺れ、けが人、交通機関の混乱といった具体的な影響をもたらしました。これは他人事ではなく、私たち自身の問題です。
今回の揺れは、私たち自身の防災対策を見直すための、いわば実践的なテストでした。あなたの備えは、このテストに合格できたでしょうか。
自宅で90代の女性が転倒し負傷した事実は、家具の固定の緊急性を物語っています。広範囲に及んだ交通の麻痺は、家族との連絡手段や集合場所を決めておくことの重要性を浮き彫りにしました。この地震は単なる揺れではなく、私たちの備えが実社会でどう機能するかを試す、予期せぬ防災訓練だったのです。
この揺れの記憶を、具体的な行動へと変える原動力にしてください。固定された本棚一つ、確認し合った家族の安否確認ルール一つが、次に地球がその力を示す時、私たちを守る最も強力な盾となるのです。

コメント