発生と患者の状況
2025年9月27日(土)午前9時15分頃、福山市内の医療機関から、入院患者に下痢や嘔吐の症状が出ているとの連絡が福山市保健所に寄せられました。
この報告を受けて調査が行われた結果、9月23日(火)の午後5時頃の夕食として給食施設が調理・提供した食事を食べた人々から症状が確認されました。症状の初発日時は9月24日(水)の午後9時30分とされています。
この食事を喫食した8人(入院患者7人、職員1人)のうち、5人が症状を呈しました。有症者は50歳から98歳までの女性5人(入院患者4人、職員1人)でした。主な症状は、嘔吐、下痢、発熱などです。重症者はなく、患者たちは現在回復傾向にあるとのことです。
原因と行政処分
発症した人々の症状や発症状況が類似しており、共通して喫食した食品が当該施設の食事に限定されていたため、この件は食中毒事件と断定されました。有症者の便からはノロウイルスが検出され、医師からも食中毒届が提出されたことから、病因物質はノロウイルスであると特定されています。
給食業務を委託されていたのは、大阪市に本社を置く飲食店営業の事業者、株式会社日米クック(代表取締役:米谷素明)でした。福山市保健所は、9月29日(月)に、この給食施設に対し営業禁止処分を実施しました。この営業禁止処分は、事業者が再発防止策を講じるまで継続される見込みです。なお、この処分は給食の委託元である医療機関に対して行われたものではありません。
原因食品と業者の勤務地
食中毒の原因とされたのは、9月23日の夕食として提供された食事です。提供メニューは、ご飯、八宝菜、キャベツのピーナッツ和え、おぼろ汁でしたが、このうちどの食品が原因となったのかは現在調査中です。
給食を提供した日米クック社は、福山市内の他の医療機関でも給食を提供していることが確認されています。
福山営業所の勤務地として確認されている施設には、楠本病院、亀川病院、島谷病院、福山城西病院、ローカルコモンズ・ウィル、ライフサポートきらり、ジョイトピアおおさ、コーポしんいち、近大などが含まれます。
保健所による詳細調査
福山市保健所は、事件発生を受けて、有症者の健康状態や食事の摂取状況の調査、給食施設への立ち入り調査、および検体の採取を実施しました。
検体検査の結果、有症者4人の便を調べたところ3検体がノロウイルス陽性、1検体が検査中でした。
また、給食施設の従事者3人の便のうち1検体からノロウイルスが陽性、2検体が陰性でした。さらに、施設内の拭き取り検査では10検体中4検体が陽性、6検体が陰性という結果でした。食品5検体については、いずれも検査中でした。
私の見解
今回の食中毒は、医療機関という特に衛生管理が重視される現場で発生しました。幸い重症者は出ませんでしたが、入院患者のような抵抗力の弱い方々に被害が及んだことは、改めて予防の徹底の重要性を示しています。
食中毒の原因がノロウイルスと特定されたことで、迅速に行政処分が下された点は評価できます。しかし、再発防止のためには委託業者だけでなく、委託元施設との連携や監査体制の強化が求められると考えます。
市民としては、こうした事例を「遠い出来事」とせず、日常の食生活においても手洗い・調理衛生・消毒といった基本対策を習慣づけることが重要です。小さな意識の積み重ねが、社会全体の安全につながります。
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