地域の誇りが走り出す:記念セレモニーで喜びの声
プロ野球広島東洋カープのマスコットキャラクターをあしらったご当地ナンバープレートが、交付開始から約1年半で累計1万枚を達成しました。この記念すべき節目を祝うセレモニーが、2025年9月10日に広島市西区で執り行われました。
1万枚目の交付者となったのは、東広島市にお住まいの会社員です。下のお子さんが生まれたことを機に車を買い替える際にこのカープナンバーを選んだと語っています。
記念プレートを受け取り、「連絡が来たときはドッキリかと思いました。これは家宝にします、大切にしたいです」と喜びをあらわにし、「まさか自分が1万人目になるとは思わず驚きました。この記念プレートはカープファンにとって家宝です」と感激した様子でした。
また、「周りのカープ好きの人たちにひとしきり自慢しようと思います」と笑顔で話しました。
「走る広告塔」としてのナンバープレート:デザインと普及状況
この「広島版カープナンバー」は、バットを持ったカープ坊やと球団ロゴが入ったボールがデザインされており、赤を基調としています。広島市や呉市など15の市町で構成される「広島ナンバー」エリアが対象で、2023年10月に交付が始まりました。
中国運輸局や自治体は普及促進のため各地でPR活動を展開し、2025年4月に1万枚達成となりました。
普通車の場合、白黒ナンバーは9,200円から申請可能で、1,000円以上の寄付をすることでフルカラー版を選ぶことができます。中国運輸局広島運輸支局の今岡俊之支局長は、「このナンバープレートをつけた車が全国を走り、広島の魅力を発信してくれれば大変嬉しい」とコメントしています。
2025年8月末時点での申込件数は、既に1万1,900枚を超えているとのことです。
ちなみに、広島県内には「広島版」と「福山版」の二種類のカープご当地ナンバーが存在します。福山版は2018年から交付が開始され、ピッチャー姿のカープ坊やがデザインされています。福山版はカープが3連覇を達成した年に始まったこともあり、約10ヶ月という短期間で1万枚を達成しました。
全国には現在72〜74種類の「ご当地ナンバー」があり、地域をPRする「走る広告塔」として期待されています。全国の普及率トップ3は、1位が奈良県の「飛鳥」(9.15%、朱雀のデザイン)、2位が山梨県の「富士山」(6.46%、富士山のデザイン)、3位が島根県の「出雲」(5.99%、ヤマタノオロチのデザイン)となっています。
広島版カープナンバーの普及率は0.81%、福山版は3.11%となっています。
私の見解
ご当地ナンバーは「車社会の中での地域アイデンティティ」を体現する存在です。
特に広島におけるカープは単なるプロ野球球団ではなく、文化や生活に深く根付いた地域の象徴。そのロゴやキャラクターがナンバープレートとして全国を走ることは、地域PR以上に「広島らしさの可視化」に近いと思います。
1万枚という節目を迎えたことは、単にファンの熱意を示すだけでなく、地域の誇りが日常に浸透している証拠とも言えます。特に「家宝にする」という交付者の言葉には、カープが市民の暮らしの支えであることが滲み出ています。
普及率としては福山版に比べてまだ控えめですが、広域で導入された広島版は長期的に伸びる可能性が高いでしょう。今後は「走る広告塔」として県外に広島の熱量を伝える役割を担い、観光や地域ブランディングへの波及効果も期待できます。
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