平和記念式典を巡る中核派活動家の暴行事件と裁判の進捗
2023年事件の概要と検察側の求刑
2023年の「原爆の日」(8月6日)に、広島市職員に対して集団で暴行を加えたとされる中核派の活動家5人の裁判が進められています。起訴状によると、5人の被告は原爆ドーム北側で、公園利用者の通路を確保するために立っていた広島市の職員に対し、互いに腕を組み体当たりするなどの暴行行為を行ったとされています。2025年1月の初公判において、5人全員が起訴された内容を否認しました。
検察と弁護側の主張の対立
10月3日の裁判で、検察側は、この行為が「原爆ドーム前での集会を暴力を用いて実現しようとする、独占的かつ身勝手な犯行」であると厳しく指摘しました。さらに、彼らが進行方向を変更できたにもかかわらず、集会場所を確保するため積極的に前進し、結果として傷害を負わせかねない対応となった点は独占的かつ悪質であると主張しました。検察側は、集団を指揮したとされる被告ら2人に懲役2年を、残りの3人には懲役1年6か月を求刑しました。
一方、弁護側は、被告らは無実であり、公訴は棄却されるべきだと主張しました。彼らは、集会を円滑に行うための移動の一環としてスクラムを組んだものであり、公訴事実を立証できる証拠はないとしています。また、仮に公訴事実が認められたとしても、それは暴行ではなく単なる身体的な接触であると訴えました。裁判の判決は11月18日に言い渡される予定です。
2025年原爆の日に発生した警備員への暴行容疑での逮捕と捜査の動き
式典当日の暴行事件と中核派活動家の逮捕
80回目の原爆の日となった2025年8月6日、平和記念式典に備えて警備にあたっていた警備員に対して暴行を加えた疑いで、男2人が現行犯逮捕されました。逮捕されたのは、中核派活動家で長野市在住の51歳の男と、住所・職業不詳の男です。
中核派活動家の男は午前7時30分過ぎに、原爆ドーム北側の歩道で、警戒警備中の81歳の男性警備員の胸を手で押した疑いが持たれており、警備員は尻もちをつきました。また、氏名不詳の男は午前5時45分頃、平和公園北側で、式典警備にあたっていた30歳の警備員の足を蹴った疑いで逮捕されています。いずれの男も、警察の調べに対し、認否や動機について黙秘しているとのことです。平和記念式典に関連して逮捕者が出たのは2年ぶりでした。
集会参加者と警察の衝突、広がる捜査
逮捕された2人は、中核派の活動家が含まれる集会に参加していました。この集会場所は式典開催に伴う入場規制エリアとなっており、広島市は参加者に対して退去を命じていましたが、彼らはこれに応じなかったとされています。式典当日は厳戒態勢の中で行われましたが、反戦・反核を掲げる市民団体約500人が集会を開き、警察と衝突しました。市からの要請に基づき、警察は警告に従わなかった30人以上を威力業務妨害の疑いで式典会場の外へ強制的に排除しました。
これらの暴行容疑を受け、広島県警は8月20日、広島市南区や東京都江戸川区など過激派「中核派」の拠点である関係先3カ所を暴行容疑で家宅捜索しました。東京都の拠点では、捜索の際に一時的に扉を開ける警告に従わなかったため、エンジンカッターが使用される一幕もありました。なお、8月6日に暴行容疑で現行犯逮捕された2人の男性は、8月26日付で広島地検により処分保留で釈放されています。
私の見解
平和記念式典の開催に関連して、複数の暴行事件や裁判が報じられています。平和を象徴する行事の場で、行政や市民団体、警備関係者の間に摩擦が生じることは社会的な注目を集めます。今後は、式典運営と表現活動の調整をどのように行うかが、課題として浮かび上がっています。
現在進行中の裁判では、検察側と弁護側の主張が大きく異なり、行為の意図や性質をどのように評価するかが焦点となっています。判決の結果は、今後の式典時の警備体制や、公的空間における市民活動の扱いに一定の影響を与える可能性があります。
事件や裁判の経過を通じて、平和記念式典の意義と安全確保の両立が改めて問われています。行政・警察・市民それぞれが冷静に協議を重ね、平和的かつ円滑な運営のための仕組みを検討していくことが望まれます。
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