低価格帯を中心に50アイテムを展開開始
地場流通大手のイズミは、グループとして初となる統一プライベートブランド「ゆめイチ」を発表しました。9月11日から、飲料や食品を中心に50アイテムで販売を開始します。
ブランド名「ゆめイチ」には、価格も品質も消費者に「イチバン」寄り添い、「イチオシ」商品を届けたいという思いが込められています。
物価高が商品開発の背景、地域性も考慮
近年の物価高騰を受け、イズミは消費者の節約志向に応えるため、プライベートブランドの開発を加速させました。プライベートブランドは、小売業者が企画から製造までを担うことでコストを抑え、低価格で提供できるメリットがあります。
イズミの山西大輔副社長は「インフレの中でPB開発のニーズが非常に高まってきた。成長戦略エンジンとしてPBを位置づけていきたい」と述べています。
また、地域密着の距離感を活かし、地域の工場との連携による物流コスト削減で価格的なメリットを出すとともに、中四国や九州の地域ごとの食文化の違いにも配慮した商品展開を行うとしています。
今後の展開
「ゆめイチ」はイズミグループが運営する中四国・九州地方の約260店舗(岡山・香川を含む)で販売されます。
イズミは今年度中に約120アイテム(124品目)まで、5年後には750アイテム、10年後には食品売上高の1割を目指す計画です。
既にゆめタウン博多では、お茶2リットル117円、インスタントラーメン5食入り322円、サバ缶139円、食パン117円などの商品が先行して並べられています。
流通大手では「最後発」のプライベートブランドであるため、イズミは「最高のPBを目指す」と決意を表明しています。
私の見解
イズミの「ゆめイチ」発表は、物価高騰の中で消費者が求める「安さ+安心感」をしっかり押さえた施策だと評価できます。これまで全国流通大手がPB戦略を先行して展開してきた中で、イズミは“最後発”の位置づけですが、逆に言えば他社の成功事例や課題を学んだうえで独自色を出せるタイミングです。
注目すべきは、単なるコストカットに留まらず「地域密着」を武器にしている点です。地元工場との連携による物流効率化、地域ごとの食文化に寄り添った商品企画は、ナショナルチェーンには出せない強みです。例えば「中四国らしい柑橘系商品」や「九州の味付けを反映した惣菜系PB」など、地域特性を打ち出すと差別化できるでしょう。
一方で、最後発ゆえに「どれだけPBに信頼を持たせられるか」が課題になります。消費者が安心して手に取れる品質保証、店舗での分かりやすい情報発信が重要です。もし価格だけを前面に押すと「安かろう悪かろう」のイメージがつきやすいため、ブランドストーリーと品質訴求の両輪で展開する必要があると考えます。
イズミが10年後に食品売上の1割をPBで賄うという目標を掲げたのは野心的ですが、地域の支持を得られれば実現可能性は高いと思います。


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