事件の概要と容疑者の逮捕
2025年9月6日未明、広島県江田島市沖美町三吉の三高港旅客ターミナルで強盗事件が発生し、自称住所不定・無職の89歳の男が強盗の疑いで逮捕されました。
警察によると、男は9月5日午後10時10分ごろに広島市松原町の路上でタクシーに乗車し、約2時間半後の9月6日午前0時40分ごろ、江田島市三高港旅客ターミナルに到着しました。乗車運賃2万8730円の支払いを拒否し、運転手の男性(64歳)が「警察を呼ぶ」と伝えると、男は運転手の顔面を拳で殴り「殺すぞ」と脅迫した上で、運賃を支払わずに徒歩で逃走しました。運転手の男性にけがはありませんでした。
事件後、運転手からの110番通報を受け、警察は強盗事件として男の行方を追跡。男の特徴は、90歳くらい、身長165cmくらいの細身で禿げ頭、ベージュ色の短パンを穿いていました。
そして6日午前10時20分ごろ、ターミナルから約400メートル離れた路上を歩いていた男を発見し職務質問、身柄を確保しました。同日午後5時すぎに逮捕に至りました。
逮捕時の状況と容疑否認
逮捕時、男は身元を証明するものを所持しておらず、所持金は4453円でした。警察の調べに対し、男は「タクシーに乗ったことは間違いないが、運転手は殴っていない」と容疑を否認しているとのことです。警察は動機などを詳しく調べています。
私の見解
- 高齢での犯行という点の異例性
89歳という年齢で強盗容疑に至ったケースは非常に珍しく、地域社会に衝撃を与える事件です。通常は高齢者が被害者となるケースが多いですが、加害者となると社会的な孤立、生活困窮、認知機能の低下などの背景が推測されます。 - 事件の性質
本件は単なる「無賃乗車」ではなく、支払いを拒否したうえで「暴行」と「脅迫」が伴ったため「強盗」事件として扱われています。刑法上、暴行・脅迫を用いて財産上の不当な利益を得れば「強盗」となり、極めて重い罪に当たります。 - 供述の矛盾
容疑者は「タクシーに乗ったことは認めるが殴っていない」と供述。これは「無賃乗車」と「強盗」の線引きを避けようとする可能性があります。ただし被害者の供述と身体的証拠(顔の打撲痕の有無など)が焦点になります。 - 社会的背景と今後の捜査の焦点
所持金4453円で高額のタクシー移動をした点からも、計画性よりも衝動性が強い印象を受けます。今後の焦点は以下の通りです。
犯行に至った動機(生活困窮、認知症、孤独など)
殴打の有無の立証(診断書、防犯カメラ)
今後の刑事責任能力の有無の検討 - 社会的な示唆
この事件は「高齢化社会の影の一面」を象徴しているとも言えます。経済的困窮や孤立が深まると、高齢者でも重大事件に至るリスクがあるという点で、福祉や地域ケアの課題も浮き彫りになります。
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