国内初となるマルミミゾウの出産
広島市安佐北区にある安佐動物公園で、国内初となるマルミミゾウの出産を記念した企画展が開催されています。マルミミゾウのメス「メイ」が2025年8月5日に赤ちゃんを出産しました。この出産は世界的にも希少な出来事です。
妊娠から出産までの軌跡を展示
企画展では、メイが2001年に安佐動物公園に来てから、妊娠、出産に至るまでの詳細な経過が、画像や映像を交えて展示されています。メイの妊娠中のエコー検査画像では、胎児の段階でゾウ特有の鼻の2つの穴や長い尾が確認できる様子も見ることができます。会場には、メイと赤ちゃんへのメッセージを書き込むブースも設けられており、「出産おめでとう」「元気に大きくなってね」といったコメントが寄せられています。
企画展は2025年10月13日まで開催されます。赤ちゃんは日々足取りがしっかりとし、水をかけると地面に伏せて遊ぶなど、順調に成長しており、母親のメイも人工ミルクを与えようとする飼育員から赤ちゃんを守ろうとする様子が見られるなど、育児も順調に進んでいます。
私の見解
マルミミゾウはアフリカゾウの中でも亜種とされる存在で、飼育個体数自体が非常に少なく、繁殖例はきわめて限られています。そのため今回の安佐動物公園での出産は、日本だけでなく世界的にも価値のあるニュースであり、国際的な保全研究にとっても大きな意味を持つと考えます。
企画展では妊娠から出産までの軌跡が画像や映像で紹介され、来園者がゾウの生態を具体的に学べる機会となっています。単なる展示ではなく、科学的データの公開や普及活動につながっている点は、動物園の本来の使命(教育・研究・保全)を果たすものとして高く評価できると思います。
メッセージブースを設けて祝福の言葉を集める仕掛けは、来園者が「動物の命の成長に参加している感覚」を持てる工夫です。こうした仕組みは動物への関心や愛着を育て、ひいては環境保護や野生動物保全への意識向上にもつながるでしょう。
母ゾウのメイが飼育員から赤ちゃんを守る姿は、母性の自然な表れであり、野生動物としての本能を感じさせます。人工的な飼育環境の中でも、動物本来の行動がしっかりと発揮されていることは、飼育環境の質の高さを物語っていると感じます。
参照
企画展「メイ、母になる ~マルミミゾウ国内初繫殖に向けて~」(7/26~10/13)|top04_イベント|イベント一覧|お知らせ・イベント|安佐動物公園 asazoo
コメント