来春導入の「宿泊税」配分案が決定
広島県は、来年4月から導入する「宿泊税」の市町への税収配分方針案を公表しました。この宿泊税は、修学旅行などを除く県内宿泊者に対して、1人1泊あたり200円が課税されるものです。
県の試算によると、来年度の税収はおよそ17億6000万円が見込まれており、徴収経費を除くと約14億7000万円が観光振興事業に活用される交付額となる見込みです。
配分方法は2つの要素を組み合わせる方針案が示されました。一つは市町ごとの宿泊者数に応じた「宿泊割合分」の配分。もう一つは、市町から提案される観光施策事業の「効果に応じた」配分です。
県観光課は、この税収を地域の特色を活かした観光資源開発や、観光の視点に立った環境整備などのまちづくり推進に充ててほしいと述べています。県は各市町にこの配分案を伝え、来月下旬(10月末まで)をめどに事業案の提出を求めています。
深刻な人材不足と賃金向上への取り組み
物価高騰が続く中、連合広島は県に対して、働く人たちを支援するための政策や支援拡大を求める要請書を提出しました。連合広島の会長は、経済、物価、生活の好循環のためには、物価上昇分を上回る賃上げが引き続き必要であるとの考えを示しました。
要請内容には、非正規雇用者の処遇改善や、中小企業が適正な価格転嫁をしやすくなるような後押し、外国人労働者への生活支援、女性が働きやすい環境整備(ジェンダー平等推進)などが含まれています。また、人材不足が深刻な交通事業者への支援も求められました。
一方、広島県は、就労継続支援B型事業所などが抱える工賃向上の課題を解決するため、「令和7年度広島県専門家アドバイザー派遣事業」を実施します。この事業では、工賃向上計画を作成し提出している事業所を対象に、目標工賃の設定方法や達成に向けた事業計画立案のレクチャーを行う「工賃向上スキルアップ研修」(オンライン実施)を実施します。
さらに、スキルアップ研修を受講した事業所の中から、個別コンサルティング(アドバイザー派遣)の受講事業所が募集されます。コンサルティングはオンラインでのヒアリングと現地訪問を含む計3回が予定されており、専門的なアドバイスが提供されます。
若者の転出超過解消へ向けたキャリアパスポート事業
若者を中心に県外への転出超過が4年連続で全国最多となっている広島県は、若者離れを解消するため、県内の大手企業や県が連携するプロジェクト「HATAful(ハタフル)」を立ち上げました。このプロジェクトの一環として、他社の業務に参加する「ひろしまキャリアパスポート」という異業種交流の取り組みが行われています。
この交流では、参加者が、中国地方の魅力を発信する若者向けWEBサイト「HAMORUWA(ハモルワ)」の制作に参加しました。彼らが企画した、街中の川でSUP(水上アクティビティ)を体験し、川の街・広島の魅力を伝える記事はサイトで公開されました。
プロジェクト関係者は、異業種交流を通じて若者が様々な仕事を知ることで、地元への就業意欲の向上につながることを期待しています。
私の見解
広島県は、観光収益の地域還元・労働環境の改善・若者の地域定着という施策を展開しており、短期的な経済効果だけでなく、将来的な人口・雇用・地域活性化を見据えた戦略が一貫していると考えます。
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